入江川水系を眺める…9

(『入江川水系を眺める…8』のつづき)
FI2618253_1E.jpg新浦島橋をくぐると、雰囲気はがらりと変わって、漁船が所狭しと舷を接し、舳艫を並べる岸辺が、見渡す限り続く水面が広がります。

いや、今まではほんのさわりに過ぎず(とは言っても、充分濃厚でしたが…)、入江川第二派川の真髄は、ここから始まると言っても、言い過ぎではありますまい!

FI2618253_2E.jpg浦島町の東半から、子安通1丁目の全幅を占めるこの水辺は、通称「子安浜」と呼ばれ、運河化した旧海岸線に沿って、他所では見られない、独特の漁港風景が広がっていることで、好事家の間ではつとに有名です。

目前を工業地帯の埋立地に阻まれ、さらに大都市の一角でありながら、かたくなに、「漁村」であることを守り続けてきた心意気は、その一風変わった家並みとともに、多くの人を惹きつけたに違いありません。

こちらを知ったのは、前回の新浦島橋と同じく、「横浜蒐集10 子安浜」(横浜蒐集録/風色)を読ませていただいてからです。他の湾奥にある漁村同様、漁業権を放棄しながらも、結構な水揚げ量があること、漁協も機能していて、小なりと言えど地場産業として盛業中であることなど、興味深く拝読しました。

漁船群が高密度でもやう、「船いきれ」がムンムンしそうな水路風景に惹かれ、今回初めて訪れてみると…、失礼ながらフネそっちのけで、何より意識してしまったのは、初めて目にした、この…「桟橋つき長屋建築」、とでも言うべきものでした。

FI2618253_3E.jpgこの桟橋付き長屋、遠目にコンクリートの肌を見ただけなので、詳しいことはわかりませんが、築4~50年といったところでしょうか。

桟橋と同レベルの、恐らく倉庫として使われる部分はともかく、フラットな屋上には鉄柵をめぐらし、外階段を設けた、展望のための用途以外は、考えにくい造りになっていることが、まず気になりました。

写真のように、一軒(?)分しかないような、短い幅のものにも、丁寧に屋上が造られているところを見ると、長屋群が公道からの眺めをさえぎるため、眺望を確保するための、公共用スペースとして、造られたようにも思えたのですが、いかがでしょうか。

FI2618253_4E.jpgもっとも、ご覧のように屋上にプレハブを建てたりと、どれも何らかの形で増改築がされているので、初期の構想が例えそうであったとしても、今は一般の人が、ここへ上るのははばかられるでしょう。
しかし、家並みから公道をはさんだ水際に、船をつけるための準私有地が確保されているさまは、かつての物揚場や、河岸の構造とよく似ていて、そのあたりからも惹かれるものがあります。

…などなど、妄想が次々に湧いてきて、眺めるほどに興味は尽きません。そもそもを含めて、ご存知の方、ぜひご教示いただきたいものです。

FI2618253_5E.jpg長屋にコーフンしていたら、入江川第三小派川(Googleマップはこちら)を忘れるところでした。長さ450m、新浦島町1丁目と、守屋町1丁目の間を通り、終端部はかぎの手になっています。

こちらから見ると、守屋町側は緑が濃く、一見船影に乏しいようですが、高島線の橋の向こうには造修施設があり、常にバージや曳船がもやっているようです。
撮影地点のMapion地図

(20年11月1日撮影)

(『入江川水系を眺める…10』につづく)