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ロータリーボートだった! 第十一あかつき

FI2618233_1E.jpg二つ下の記事、「究極の曳船! 第十一あかつき」で、朝潮運河の寸詰まり曳船・第十一あかつきに再会して、一人で盛り上がっていたところ、ありがたいことにコメント欄で、火に油を注いでくださった(笑)方が出現。
嬉しくなったので、新たにエントリを立てて、ご紹介したいと思います。

まずblueさんより、この船はロータリー船と言って、キャブ直下に回転自在のドライブがあり、プロペラの向きを自由に変えられるような構造の船である、とのご教示をいただきました。

本船の接岸を支援するような、大型のハーバータグには、コルトノズルプロペラという、360度回転可能な推進器がついているのは知っていましたが、船首近くにペラがあるのは初耳でしたので、驚くと同時に、ちょっと信じられないような気持ちになったのも事実です。
喫水線下の構造がどうなっているのか、まるで想像ができない、というのもありました。

そんな疑問は、おなじみ、がーちゃんさん(ブログ『がーちゃんフォトアルバム』)が、この船のメーカーのサイト、「ロータリーボート」(株式会社 呉ダイヤ)を発見してくださったことで、見事に氷解することになりました。

なるほど写真を見ると、まったくblueさんの書かれていたとおりで、キャブほぼ直下にドライブがあり、船底には推進器を保護する、ガードフレームが備えられていますね。船尾に見えるのは、直進性を維持させるような、スケグの一種でしょうか。
意表をついた構造に、まさに2度ビックリですが、トシを取ると、頭が固くなっていけないなあと、反省することしきりです。blueさんのご親切なご教示に、「信じがたい」などと書いてしまった、ご無礼を改めてお詫び申し上げます。

さて、大いに興奮しつつ、ロータリーボートのキャプションを読んでゆくと、もともと貯木場で、丸太をさばくための専業船として設計されたこと、運動性は抜群で、カニのように横移動までできることなど、これまたそそることが書かれており、さらにテンションは急上昇…。
機関車に例えると、引込み線で貨車の入れ替えに働く、小型ディーゼル機関車、自動車で言えば、倉庫を走り回る蓄電池式のプラッター、といったところでしょうね。

しかし、構造の特異性もさることながら、今回、何より驚かされたのは、この船がワンオフではなく、曲がりなりにもメーカー品である、ということ。
この造作を見て、バックヤードスペシャル的(?)な匂いを嗅ぎ取り、近くの造船所で、鉄板ぶつけて造ったのに違いない、と、勝手に思い込んでいたのですから。これも、第十一あかつき君に対して、丁重にお詫び申し上げなければなりますまい。

ともあれ、お二方のご教示のお陰で、第十一あかつきに対する興味と愛着が、ますます燃え上がりました。
blueさん、がーちゃんさんに、改めて御礼申し上げます、ありがとうございました!

FI2618233_2E.jpgおまけ。
同日に撮影した、第十一あかつきの僚船、通称「電話ボックス」君。(過去の記事『お花見は曇り空だったけれど…2』ほか参照)

こちらも、負けず劣らずキュートな船影ですが、気になるのは、船名がどこにも見えないことです。第十一あかつきのように、立派な船名を書き入れてやってほしいものですね。


(20年10月12日撮影)

【20年11月6日追記】
ふたたび、がーちゃんさんのご紹介により、ロータリーボートが、実際に筏を組んでいるシーンを見ることができます。こちら→「業務案内・米加材荷役」(有限会社 歌港組)丸くて小さな船体で、大きな材木を一生懸命押している姿が、可愛らしいですね。がーちゃんさん、ありがとうございました!

また、月刊ボート倶楽部・2006年1月号舵社)では、なんと、「はたらくフネ探訪記 ロータリーボート〈第13あかつき〉」なる記事があるのを発見。
ん?「第13あかつき」…もしや、同型の僚船がいる、ということでしょうか。すると、改造されたのではなく、「フネづくし」のときとは、違う船に出会ったということなのかもしれません。う~ん、ますます面白くなってきました! まずは、「ボート倶楽部」のバックナンバーを探しに行かねば。

FI2618233_3E.jpg【20年12月28日追記】
上の記事を書いた後、さっそく「ボート倶楽部」の2006年1月号を探しに、神保町をうろついてみたのですが…。
バックナンバー常備店にはなし、何軒かある乗り物専門の古書店も全滅、さらに版元である舵社にも、在庫はないとのこと。

いたずらに時間だけが過ぎ、う~ん、図書館に行くしかないか…と思っていたら、なんと、がーちゃんさんが探し当ててくださり、しかも貸していただけるとのこと。今回の件では、がーちゃんさんにお世話になりっぱなしです、本当にありがとうございました!

さっそく「ボート倶楽部」をお借りして、その記事「東京木材運輸 ロータリーボート 第13あかつき」を開いてみると…、記事の筆者でもある、久保川勲氏が描く魅力的な解剖図により、その特異なメカニズムがわかりやすく解説されているほか、荷役中の写真もふんだんに掲載されて、もう興奮、コーフンの連続!
一読して、ますます、ロータリーボートに魅せられてしまいました!

記事によると、ロータリーボートを創案したメーカーは、名古屋の北井鉄工所で、同社の廃業後に、呉ダイヤが引き継いだとのこと。
我らが第十一あかつきは、1987年の建造。やはり兄弟がいて、同型の第十二、第十三あかつきと船隊を組んで働いていたものの、老朽化で第十二と第十三の健全な部分を合成、新たに第十三として就役させたのだそうです。

これも記事が書かれた、3年前の時点の話ですから、第十三が今も元気なのか、それとも、第十一の部品取りに使われてしまったかは、残念ながらわかりません。

数あるメカの中でも、特に変わっていて面白かったのが、冷却系統のしくみでした。
二次冷却水である海水は、三方弁で取り入れられた後、循環されるのですが、船底後部にあるフィンキール様のものは、なんと、冷却水を冷やすクーラーを兼ねているとのこと。う~ん、これならインテークに、ゴミや砂を吸い込まなくていいかも…。

他にも、船首のノコギリ状のアレは「スパイク」と呼ばれること、スロットルは足踏みペダルで操作することなど、ご紹介したいことは山ほどあるのですが…、あまり引用するのは、さすがに差し障りがあるので、気になる方は、ぜひ探して読んでみてくださいね。

【21年2月4日追記】
がーちゃんフォトアルバムの「第十一あかつき」に、トラックバックさせていただきました。