FC2ブログ

究極の曳船! 第十一あかつき

(『中川水門の水位差』のつづき)
FI2618230_1E.jpg最後に少し、櫓を漕いでから帰ろうかしらと、佃水門から朝潮運河に入ると、一艘のドラゴンボートが練習中でした。写真は朝潮大橋下、休憩中のスナップ。舷側に書かれたロゴを見ると、凸版印刷の社会人チームでしょうか。お疲れさまです。

ドラゴンボートを一旦追い越して、この後、よいしょよいしょと下手な櫓を操っていたら、追いついてきたクルーの皆さんが、呆れ顔で、押し黙って眺めていたっけ…。驚かせてすみません。
撮影地点のMapion地図

FI2618230_2E.jpgしばらく櫓走を続けて、おなじみ晴月橋近くの船溜までくると…おおお! 過去の記事「フネづくし」で紹介した、大好きなヘンテコ極小曳船が! 前回登場以来、3年ぶりの感動の再会です。

そのアンバランスゆえの不思議な魅力に、すっかり参ってしまい、朝潮運河を訪れるたびに、彼の姿を目で探したのですが、タイミングが悪かったのか、今の今まで会うことができず、もしや廃船になってしまったのかと、残念に思っていたのです。

ここで会ったが百年目、よし、今日はじっくり観察してやろう!
しかし、ずいぶんサビサビになったなあ…。前回見た時は、船名などどこにも書いていなかったけれど、船首ブルワーク(波除け)に、「第十一あかつき」と、立派な名前を書いてもらって…。その他にも、よくよく眺めると、以前とだいぶ、違ったところがあるのに気づきました。

FI2618230_3E.jpg一人分のスペースも満足にない、細長いキャブはそのままでしたが、ルーフの色が違いますし、形も微妙に異なるようです。取り替えたのでしょうか。キャブの中を見ても、舵輪は垂直に取り付けられた、やけに直径の小さなものから、水平の大直径のものに取り替えられていました。

もっともインパクトの大きかった、座席…以前は、一昔前のスチール机にあるような、事務用然とした回転椅子が固定されており、そのミスマッチに驚き、かつ惹かれたものですが、今は駅の待合室にあるような、プラ製一体成型のものに。まあ、腐食しない素材になった分、メンテナンス性(?)は向上したことでしょうね。

個人的には、細かい点でちょっと、インパクト減といった感想を持ちましたが、この船の第一の魅力である、全体からかもし出される異様さ(失礼)という点では、あまり変わりがなく、くたびれた外観にも、働き者らしい魅力が、むしろ増しているように思えました。(もう何でもありだな)
この他にも、エンジンルームの天蓋に、キノコ型通風筒が2本追加されており、この3年間、かなりの改造が加えられたことが見て取れます。

FI2618230_4E.jpgサイドビュー。縦横比が小さく、船首尾ともに垂直な船体は、本当にたらいのようですね。キャブ側面に、油性ペンか何かで「第11あかつき」「定員4名」とやっつけてあるのも佳し。

水線下の形状が、どうなっているかはわかりませんが、この肥えた船型を見た限りでは、すごく直進性が悪い感じがするのですが、実際はどうなのでしょう。一度でいいですから、ぜひ舵を取ってみたいものです!

乗り物の模型や玩具では、扱いやすさや形の面白さを狙って、実物を縮めたような、寸詰まったデザインのものがよく見られますが、私がこの船に惹かれるのは、まさにそんな、模型を思わせる風味にあるのかもしれません。
こんな模型、作ってみたいなあ(それより、通運丸の模型を、早く作らなければ…)。

FI2618230_5E.jpgそして船首の、ノコギリ状のこれ。過去の記事「曳船の船首に…」のコメント欄で、キャプテンケンケンさんが解説してくださった、曳船で丸太を筏に組む際の、滑り止めとでも言うべきもの。

船溜にもやう他の曳船でも、2本がせいぜいなのに、コイツには7本ものノコギリが、牙をむいている! 
ここだけ、すごく強そうです。
そのユーモラスな外観とはうらはらに、秘めた獰猛な一面(?)をも見せる、我が第十一あかつき…。いやもう、完全にぞっこんですわ!
撮影地点のMapion地図

(20年10月12日撮影)

(この項おわり)