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西の水郷を訪ねて…3

(『西の水郷を訪ねて…2』のつづき)
FI2618148_1E.jpgマルコブネの末裔に乗っていることが判明、イイ感じにテンションが上ってきた(笑)ところで、前方に見えてきたのは、何やら作業中の2艘の舟と…、赤い幟の2本立っている間に挟まれた、アレは何でしょう?

どうも、水面を閉鎖するときに使うような、浮子(アバ)のように見えるのですが…。船頭さんはなぜか、ためらいなくそちらに舳先を向け、変わらぬ速度で進んでいきます。あ、あっ、ぶつかる~。

FI2618148_2E.jpgぶつかった途端、浮子はぐにゃりと舟の下へ押し下げられ、舟は難なく、舟底をズルズルとこすりつつ通過。よく見ると、ヨシの束か何かを、網で巻いたような、やわらかな造りになっているようです。

「これはね、舟底を掃除するためのものなんですよ。通るたびに、こうして擦っておけば、舟底に藻やらがつかず、漕ぐのも楽なんです。」
なるほど! 自分の艇でもやってみたくなったけれど、船外機艇ではペラに引っ掛けてしまい、難しそうですね。櫓漕舟ならではのアイデアです。

FI2618148_3E.jpg船頭さんは、作業中の方にねぎらいの声をかけつつ、舟を進めます。ヨシを刈っているようですね。

「ああして、ヨシを刈って手入れせんと、水路がどんどん埋まってしまうんです。昔は、ヨシズやら、屋根葺くんやらでたくさん需要があったので、人の手が常に入ってたんですが…。今はそういうものをあんまり使わなくなったのと、やはり、中国製の安いものばかり市場に流れて…。仕方がないんで、こうして刈って捨てるか、時々焼き払うしかないんです」

これは聞き捨てならないお話です、せっかくの名産品、ぜひ買って、使って守りたいものですね。
ヨシを原料とした製品は、何もヨシズばかりではなく、ヨシ紙なんていうものもあります。西川嘉右衛門商店滋賀県観光情報)では、ヨシ紙を自主開発、名刺や封筒、便箋といった、日常使う紙製品のほか、ヨシ工芸品も製造販売しています。

船頭さんのお話に刺激され、今回私は、ヨシ紙の名刺用紙を購入しました。水辺の草が原料の名刺、水路バカっぽくていいかも! これで「水路をゆく」の名刺を作ろうかなあ…。

FI2618148_4E.jpg広い水面の片隅には、ヨシがびっしり立ち並ぶ、狭い水路が口を開けていました。目印などどこにもない、一面ヨシで緑の中ですから、突然水路が現れたように感じられます。木までが水面に大きく枝を張り出し、まるで密林の趣き…。

水面に目を凝らすと、小さな魚がついついと泳いでいるのが見え、ヨシの林の中には、ガサガサと葉を揺らして、小さな鳥たちが動いているようです。

FI2618148_5E.jpg水路は曲がりくねっていて、すぐに入口は見えなくなりました。
ヨシの高さは2m以上、前後左右を植物に囲まれ、岸がどこにあるかもわからない…。上空以外の視界を、全く奪われた水路の面白さは、他では味わえないでしょう! 

水郷十六島の魅力が、見渡す限り凹凸のない土地(十二橋はあるにせよ)を舟行きする、爽快な面白さにあるとすれば、近江八幡の魅力はこの、断続するヨシ原の狭水路をかき分けつつ進む、草いきれにむせ返るような、探索風の楽しさにあり、と言ってよいように思えたものです。

(20年8月1日撮影)

(『西の水郷を訪ねて…4』につづく)