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幻の閘門?

(『萩原閘門…2』のつづき)
前回の最後で触れた一件を、簡単に説明しますと…。

過去の記事「酒直水門…2」のコメント欄で、相互リンク先であるこの道の大先輩、「日本の川と災害」の管理人さんから、「柴崎閘門」なるものはどこにあるのか、という話題が出て、ではひとつ私が、次回の水郷訪問のときに見てきましょう、と請け負ったのが、ことの始まりです。

コメント欄でも触れたように、私もだいぶ前に、検索で、以下に紹介するページがヒットしてから、「柴崎閘門」の存在が気にかかっていたこともあり、今回の閘門めぐりの目的の一つに、この物件の偵察(笑)を入れることとしました。

なにしろ、こういう場合の頼みであるGoogle航空写真も、下利根付近の解像度が極端に低いため(こちら)、現地に行って確かめるほかありません。自分にとっては、有名な土木スポットをめぐる、言わば観光旅行(笑)である閘門めぐりに、ちょっとした探検の要素が加わった気がして、楽しみが増えた気持ちになりました。

「柴崎閘門」の初出…というか、今のところ唯一の原典である、検索でヒットしたサイトは、水郷周辺でバス釣りを楽しんでおられる、釣り人さんの日記「2001年Fishing Diary」(トップページは削除されたようです)の中の1ページ「11月03日(土) ・ 常陸利根川」。
この後、他のページも読んでみると、「10月20日(土) ・ 常陸利根川」、「08月31日(土) ・ 水郷」にも、「柴崎閘門」通過の下りがあることがわかりました。

この3つのページにある記述を元に、「柴崎閘門」に関することがらを整理すると、以下のようになります。

①常陸利根川と利根川を、直接結ぶ水路上にある。
②水路の長さは約500m、幅は約30m。
③常陸川水門(Mapion地図)が近い模様。
④中津江閘門(仲江間閘門の間違いと思われる)から利根川を下り、「柴崎閘門」まで15kmほど。息栖大橋付近から「柴崎閘門」まで4kmほど。
(仲江間閘門については、過去の記事『仲江間の小さな閘門…1』以下のシリーズ参照)

さて、現地に行って見た限りでは、常陸利根川と利根川を、直接結ぶ水路は、小見川閘門と萩原閘門が設けられた水路以外、ありませんでした。
また、河道の構造から考えて、あり得ないとは思ったものの、一応この2本の水路に、もう一つ閘門がある可能性も考えて検分しましたが、やはりこれら2閘門以外に、閘門は存在しませんでした。

現地を見た結果に併せ、上記①~④のことがらをあてはめて考えてみると、どうも「柴崎閘門」は、萩原閘門のことなのではないか? と思われるようになりました。

FI2617975_2E.jpgこの考えを裏付けたのが、「08月31日(土) ・ 水郷」に掲載された、「柴崎閘門」の写真でした。上から5枚目の閘門の写真、堤防が近いことから、利根川側門扉を撮ったものと思われます。

左は、小見川閘門・利根川側のアップです。よく似ていますが、階段が、「08月31日(土) ・ 水郷」の写真のそれとは、反対側についており、パイピングや信号の形(楕円形)も異なる部分があることから、小見川閘門の写真ではないことがわかりました。

FI2617975_3E.jpgでは、萩原閘門の利根川側と、「08月31日(土) ・ 水郷」の「柴崎閘門」の写真をくらべてみましょう。

階段、パイピング、長方形の信号と見てゆくと、ほとんどの位置や形状が一致します。
気になるのは、「柴崎閘門」の写真では、左側門柱下に見える、白い看板のようなものが無くなっていることですが、ここまで一致すれば、ほぼ間違いないと言って、よろしいのではないでしょうか。

あとは、なぜ「2001年Fishing Diary」の管理者の方が、萩原閘門を「柴崎閘門」と呼んでいたのかです。

閘門のある場所の地名は、前々回に掲載した管理標識にあるとおり、「萩原四番洲」ですので、これはあたりません。強いて言えば、萩原閘門から常陸利根川を渡った対岸に、「芝崎」(Mapion地図)という地名があるので、これを呼び名として、誤植したまま、使い続けている可能性が考えられます。

「荒川ロックゲート」を「小松川閘門」、「江戸川水閘門」を「篠崎水門」と呼ぶ伝で、日常使われている呼び名とは違った、正式名称や別名…地元の方だけに通用する呼び名があるのかな、などと、あれこれ考えたのですが、真相は、ご本人にうかがわない限り、恐らくわからないでしょう。

そうそう、この件に関連して、一つ気づいたことがあります。

以前ご紹介した、「日本の閘門を記録する会」の作成した閘門一覧、「8月15日時点での閘門名と住所」の中で、32番に「中津江閘門」というのが出てきますね。

これ、もしかしたら、「08月31日(土) ・ 水郷」の記事を元に、リストに入れていませんでしょうか? だとすれば、先ほど触れたとおり、仲江間閘門(仲江間二重水門)の誤りだと思います。リストの備考欄に、「中津江水路から利根川へ」とありましたので、アッと思いました。間違っていたらごめんなさい。

イヤ…こうして整理してみると、ひとつのバス釣りサイトの記事から、私を含めた、各地の閘門好き数人が、しばらく振り回されていた(笑)格好になります。

もちろん、「2001年Fishing Diary」の管理者の方を、くさすつもりは毛頭ありません。むしろ、よい刺激をいただいたと言ってよいでしょう。
何度も書いていることではありますが、これからも水運・土木趣味者にとって、釣り人さんのサイトは、見逃せない存在であることは、変わりありますまい!

(20年2月10日撮影)

(『常陸川閘門…1』につづく)