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通船

FI1586200_0E.jpg私は変わり者なのか、小型船舶免許を取りたいと思い始めた子供のころ、
「将来自分が乗るフネは、モーターボートのような俗(!)なモノでなく、曳船のように、鉄でできている硬派なフネにしたいものだ!」
と考え、落書き帳に、まるで軍艦のような、リベットだらけで、しかも蒸気エンジンのついた、コドモの妄想大爆発の「理想のフネ」想像図を描きなぐり、一人悦に入っていました。

いま思い返してみると、軽くて取り回し容易な上、「鉄のフネ」より船価の安いプレジャーボートの方が、水路探検をするにも断然合っており、また現愛艇も、こだわって選んだだけあり、非常に気に入ってもいます。
しかし、こうして水路をうろつく道々で、写真のようなフネブネ‥通船や曳船と呼ばれる連中に出会うと、昔の妄想がよみがえるのか、こんなゴツイので江戸川を攻めたら面白かろうなあ‥、と妙な欲望が頭をもたげて、ついカメラを向けてしまうのです。

FI1586200_1E.jpg通船(つうせん)という言葉は、「この川は通船できる」といったように、「フネの通航」という意味もありますが、名詞としては、狭義では沖がかりする本船(大型船)と岸壁の間を、人や物資を乗せて港内を往復する小型船、言うなれば水上タクシーを指すことが多いようです。

工事現場の警戒船や、ダルマ船を引く曳船など、港内作業をする地場のフネ、言わば「仕事をする小型船」というジャンルでひっくるめて「ツーセン」と呼んでいる人もありましたが、こちらは少し解釈を広げすぎのきらいがあるようです。

写真は、上の写真が曳船タイプ、下の写真がいわゆる「通船」、人員輸送用のフネです。

曳船は、見通しのいいように、昔の電車のようなキャブを立て、スターンデッキには曳航用の装備をしています。バウに古タイヤのフェンダーをたくさんぶら下げているのは、バウで大型船の横っ腹を押して、旋回を助けたり、着岸を手伝ったりする作業があるためです。
対して通船は、スターンデッキに手すりやベンチを備えていたり、乗船者を収容する長いキャビンを乗せていたりと、どちらも外観から用途が歴然として、いかにも「仕事をするフネ」と言った感じがします。

雑然として、あまり良い風景でないと思う人もいるでしょうが、私にとっては、たくましい「鉄のフネ」「仕事をするフネ」のたむろするこの水路は、忘れかけた子供のころの夢(イヤ、妄想)を思い出させてくれる、楽しく、かつ血が熱くなる場所でもあります。

(写真は亀島川にて平成17年6月5日撮影)

(15:59・写真2枚目差し替え、本文若干変更しました。)