FC2ブログ

仲江間の小さな閘門…2

(『仲江間の小さな閘門…1』のつづき)
FI2617938_1E.jpgそこここで番犬に吠え立てられつつ、5分ほど歩いたでしょうか、ようやく閘門の反対側(利根川の堤防側)に出ました。
ここなら、閘門の全体をなんとか、はすから眺めることができます。

扉体は電動で上下するようで、巻上機の脇には、モーターらしいケーシングが見え、二つのゲートは、太い電線で結ばれていました。
外観の古さから見て、竣工時は無動力で、後から電動化されたのかもしれません。

FI2617938_2E.jpg閘室を見たところ。ゲートの開口が狭いのにくらべて、閘室の中は、意外なほど広いのが印象的です。
恐らく、ここを通航していた舟のほとんどが、サッパか、もしくは同クラスの小型動力船で、その代わり通航量は多かったため、一回の入閘隻数がかせげるような造りにした、と思われます。

戦前の、水郷観光パンフレットのたぐいをいくつか見てみると、(そのうちの一つは、過去の記事『水郷案内のパノラマ地図』で紹介)佐原・津宮(過去の記事『津宮』参照)から、直接十六島に入って、与田浦を横切り、十二橋(新左衛門川)を経て、潮来に至る直行航路が描かれていますが、ここ仲江間がその入口だったのです。

この航路、地元で「モーター船」と通称される、小型動力船による便が数社により頻発されて、水郷観光の覇を競っていたとのこと。この広い閘室に、サッパやモーター船がギッシリと詰まり舷を摩す、昔日の栄華を見たような気がして、深い満足感がありました。

小江戸佐原、加藤洲十二橋、そしてあやめの街潮来と、水郷の贅を味わいつくすようなロングランコースは、現代の水路バカにとって、狂おしいばかりの絶景が展開する航路だったと思います。
恐らく戦後も、昭和30年代までは存続していたと想像していますが、観光船の船影が絶えたのは、いつごろだったのでしょうか。地元の方のご教示をいただきたいところです。

FI2617938_3E.jpg堤防側の扉体を、閘室側から見てみました。向こうが開いているので当然ですが、こちらは閉まっていますね。
今は、年間何隻の通航があるのでしょうか。

…と思ってから、検索してみると、ありました!
水郷佐原:あやめ水路カヌーツアー」(シーアンドシー ネイチャーアカデミーセンター)団体などを通じて申し込めば、今でも運転してくれるのですね。いや~、カヌー乗りの方がうらやましい…。

FI2617938_4E.jpg上の写真の対岸に回ると、支塔に操作盤が備えられているのを発見。
ボックスの雰囲気からして、やはり、電動装置は後年追加されたもののようです。

閘室の大きさからすると、それなりの規模ではあるものの、扇島閘門(過去の記事『扇島閘門…1』以下のシリーズ参照)同様、注排水設備を持たず、扉体を細めに開けて水位を調整する形式のようです。

FI2617938_5E.jpg操作盤の隣にあった、水位観測機器。表面のガラスはすでになくなって久しく、もちろん作動していませんでした。

ところで、例によってこの閘門の存在を確認したのが、Googleの航空写真なのですが…。
堤防と直角に交わるよう、水路を改良したのでしょうか、閘門の北で水路が突然曲がっているのがわかります。昔の地図を見ていないので、確かなことはわかりませんが、もともと水路はまっすぐで、もっと西のほうで、利根川に出ていたのかも知れませんね。


(20年1月3日撮影)

(『仲江間の小さな閘門…3』につづく)