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しらせ、最後の南極行

(『11月11日の川景色』のつづき)
FI2617895_1E.jpg水路行の帰り道、いつものように晴海埠頭をのぞいてみたら、砕氷艦しらせが接岸していたので、寄ってみることにしました。

毎年この時期に、晴海から南極に向けて出港するので、ある種、東京港の風物詩とも言ってよい存在でもありますが、就役して20年、任務の厳しさから老朽化が進み、また後継艦の建造も決まったため、今回が最後の南極行になるとのことです。

FI2617895_2E.jpg船尾から近づくと、格納庫のシャッターが開いていて、機体を折りたたんで収まっている、輸送ヘリの姿を見ることができました。格納庫の中を見るのは初めてなので、ちょっと興奮。

ヘリ甲板下の排気管からは、補機の排気が低い爆音とともに流れてきて、あたりにディーゼル臭がたちこめていました。腹に響くような補機の鼓動、大型船ならではの息づかいが感じられて、いいものです。

FI2617895_3E.jpg上部構造の煙突付近、オレンジの塗装が、ひときわ鮮やかに映える装載艇。完全密閉型で、窓が小さく、また数も少ないのは、極地向け仕様だからでしょう。

しらせの就役を知ったのは、学校の掲示板に貼ってあった、新聞社配信の写真ニュースでした。「新型艦『しらせ』出港」というタイトルと、岸壁を離れる瞬間の空撮写真…幅の広い、頼もしそうな艦影をとらえたその写真を、胸躍らせて眺めたことを思い出します。

FI2617895_4E.jpg夕闇がせまってきました。灯がともり始めた、対岸のビル群をバックに、ひるがえる旭日旗を一枚。

しらせの出港は、この写真を撮った3日後の11月14日。たくさんの見送りの人々や、上空を乱舞するヘリの群れに送られて、最後の任務に旅立って行ったそうです。


FI2617895_5E.jpgふと沖を見ると、水上バスや屋形船が、迂回航路を取って、次々としらせに近寄っては離れてゆきます。
最後の出港が近いこともあり、名残を惜しんでの乗客サービスなのでしょう。

しらせの巨体の横を、小柄なフネブネが、舷灯やイルミネーションを光らせつつ、寄り添うようにして航過する姿は、なかなか胸に迫るシーンで、映画の一場面のようでした。
撮影地点のMapion地図

(19年11月11日撮影)

(この項おわり)