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回船問屋のある街…2

(『回船問屋のある街…1』のつづき)
FI2617795_1E.jpg長押をふと見ると、「神徳丸」の銘が彫られた船名額が。
大型和船の船名は、現代の船舶と同様、船尾に表示されました。もっとも、直接船体に書き込んだわけではなく、一文字づつ書かれた板を取り付けて表示されましたが、この船名額は船室中央に掲げたもので、重厚な造りになっています。

こういうものが、特に説明もなく(係りの方に伺えば、説明してくれますが)、日常の延長と言った風情でそこにあるあたりが、ちょっとした感動でした。

FI2617795_2E.jpgこちらは、展示の体裁をとっています。船磁石に遠眼鏡ですね。本ではよく見ていても、実物を前にするのは初めてで、やはり興奮します。

遠眼鏡の手前のものは、おそらく、和紙に漆を塗ったものを張り重ねるという、一閑張りに似た技法で、作られたものでしょう。
船磁石は、木の挽きものの中に軸針を立て、板状の指針を乗せた乾式羅針盤で、方位の表示には時刻と同じく、十二支を用いていました。

FI2617795_3E.jpg今回拝見した展示の中で、最も感動したのがこれ。神社に奉納する船絵馬を、掛け軸に拵え直したものです。色彩の美しさもさることながら、乗組員の服装やしぐさ、索具の取り方まで細かく、しかも正確に描写されているのは、まったく驚くばかりで、食い入るように眺めてしまいました。

ヤマ(積荷)の上で針路をにらむ表(航海士)の表情、羽織を着た船頭(船長)の威厳のある姿は、静かな海を描いた絵とは反対に、航海の厳しさを感じさせます。
また、一見順風でらくらくと走っているように見えますが、索具の取り方に注意すると、右舷船首寄りから風を受けて、マギリ(逆風帆走)中であることが表現されています。
(すみません、嬉しくてコーフン気味です…)

FI2617795_4E.jpg写真撮影可、とのことでしたので、いくつか紹介させていただきましたが、やはり、全貌を掲載するのははばかられますから、あとは行ってのお楽しみということで…。まだまだ、興味深い展示が盛りだくさんです。

写真は、中庭に面した壁に吊り下げられていた、櫂と索具。
あ、このくらいの櫂、ウチの艇にもひとつ、欲しいなあ…(笑)。



FI2617795_5E.jpgこちらも、中庭に面した軒下に、吊り下げられていた櫓です。
展示物とは違った生々しさがあって、むしろ臨場感がありますね。…いや、コレも展示物…なのかしら?

この家のすぐ裏が、神通川の河口港であった時代…、岸辺にびっしりと舳艫を並べた、伝馬船たちの櫓音が、今にも聞こえてくるような雰囲気がありました。



(19年8月8日撮影)

(『中島閘門を目指して』につづく)