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埼玉県立 川の博物館

FI2617654_1E.jpg2月25日は、埼玉県寄居町にある、「埼玉県立 川の博物館」(サイトはこちら)を見学しました。この日は好天ながら、気温は10度を割り、私にとってはもう極寒(笑)の範囲内。こんな日は寒中航行などといきばらず、水運関連の展示がある、博物館を見て回るに限ります!

博物館の建物は、低い河岸段丘上にあり、前庭から荒川の流れが望める、風景の開けた爽やかなところです。写真は本館で、手前に広がるのは、荒川の源流から河口までを、1000分の1に縮小したスケールモデル「荒川大模型173」。地形模型としては、本邦最大だそうです。
その立地からもわかるように、当館は荒川を中心とした、治水・暮らしから舟運までを展示する、河川の総合博物館なのです。

今回のお目当ては、荷舟(『すごい人気だ通船堀…2』でも登場した、川越艜系の河川用和船)の実物大模型と、鉄砲堰の展示です。

荷舟は、帆柱から前のみの復元でしたが、中に入って、展示物に手を触れることができるのが好ましく、特に世事(セイジ、居住区)の内部は、什器類や食事、神棚まで細かく再現され、船頭の暮らし振りを彷彿することができました。
音声展示のボタンを押すと、老船頭らしい口ぶりと声で、昭和初期と思われる、船内での暮らしや、航行の様子などの話を聞くことができます。

楽しみながら耳をかたむけていたら、ん? どこかで聞いたことがある内容…。最後まで聞いてみて、思い出しました。この話の原典は、以前にも触れた、「利根川高瀬船」(渡辺貢二著・崙書房)のようです。この手の船に乗っていた人々も、もはやこの世にいない今、証言を限られた書物に頼るしかないのは、仕方がありません。でも、語り口や言い回しには、当時の船頭らしさがよく出ていて、とても楽しめました。

鉄砲堰は、山間部の細流で、切り出した原木を流して運搬するために、丸太で堰を組み、溜めた水を一気に放出するという、いわば水運のためのみに作られた仮設の堰で、近代になってから考案されたものだそうです。

まず大スクリーンで、実物の鉄砲堰を造るところから、放水までのプロセスを迫力ある映像で見せてくれ、その後、館内にある鉄砲堰の模型(といっても、2tもの水を放出するのですから、結構な衝撃がありました!)で、実際に放水を行うという、手の込んだ展示方法で、こちらも大いに楽しめました。

吐出口を開くテコを引く役目を、来館者の子供たちが参加して行うのも微笑ましく、進行役のお嬢さんの、手際よい司会ぶりとあいまって、お芝居の舞台を見ているような面白さがありました。

FI2617654_2E.jpg屋外の展示をいくつか。
園内の中心を流れる荒川の支流、宮川の流れをはさんで、対岸にそびえるのは、博物館のシンボル的存在、木製の大水車。

一見、観覧車と見まがうような大きさですが、胸かけ水車(軸と同じ高さから、水をかける形式の水車)として、実際に運転できる仕組みになっています。
残念ながら、工事中で動いていませんでした。

FI2617654_3E.jpgこちらは、鉄製の上かけ水車。昭和30年代まで、ご当地の産物、コンニャクのアラコ挽きに使われていたものを、移設したのだとか。
小屋の中に入ってみると、ゴトリゴトリとのどかな音を立てて動く、たくさんの杵だけでなく、平ベルト連動で、唐箕(トウミ・今風に言えば遠心ファン)を駆動しているなど、カラクリ好きとしてはなかなか面白い展示です。

水車やら風車、畜力による機械など、「動力登場以前の動力」に、一時期興味がわいて、少し調べたりしましたが、この水車にも使われているような、木製歯車や軸ひとつにも、素材の産地や材質の選定、そして工作方法に、膨大な経験と技術の蓄積があり、非常に興味深く思ったものです。

FI2617654_4E.jpgこちらは純和風の、木製精米水車。昭和20年ごろまで使われ、その後は庭園に保存されていたとのこと。

ううん、大型和船は、一艘たりとも残っていないのに、庭園に保存されていて、今日こうして博物館にお輿入れできたとは、うらやましい…。水車はかさ張らない(船に比べて、ですよ)ので、船より残存率が高いのか…。



FI2617654_5E.jpg見学の後は、博物館近くの河原(有料)に寄って、越冬している白鳥さんの群れを眺めつつ、川景色を楽しみました。

好天で、風も弱かったのは幸いでしたが、さすが内陸部の川風、寒がりの身にこたえる冷たさで、早々に退散(笑)。
撮影地点のMapion地図


(19年2月25日撮影)