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吸い寄せられる場所…1

FI2617592_1E.jpg先日、「宗谷と羊蹄丸」でも触れましたが、11月12日午後は、船の科学館を見学しました。
いったい、何回目の訪問になるのか忘れましたが、子供のころから、数十回はくだらないような…。

新しい展示がある、当館発行の本で新刊が出た、などのアナウンスがあるたびに来ているのですが、もはや見学というよりは、灯りにひゅっと吸い寄せられる虫のようで、なかば本能(笑)のような、気がしてきました。

単純に船が好きだ、というのもあるのですけれど、館内外、展示品ともに清掃が行き届いており、訪れるたびに展示に変化が見られるなど、意欲的な姿勢にも、強く惹かれるのです。

FI2617592_2E.jpg屋外展示品の目玉だった、旧海軍の飛行艇、二式大艇が海上自衛隊に引取られてから、寂しくなった感のある前庭ですが、インパクトは飛行艇に及ばないものの、そこここに当館らしい、実のある展示がなされて、飽きさせません。

屋外に従来から並べられている、実験船や潜水艇も面白いですが、最近の展示で、興味深かったのがこれ。5万t級の船舶に使われる、スクリュープロペラの実物です。

説明板によると、直径6m、重量15.3t、素材はアルミニュウム・ニッケル・銅の合金。鋳物にふいたのち、切削・研磨して加工したもので、真鍮に近い色合いの輝きを持った、うろこ状の、なめらかな切削痕が美しいですね。

FI2617592_3E.jpgやはり、和船好きとしては、吸い寄せられるものが…。前庭の海側、かなり隅の方ですが、キャンバスオーニングに覆われて展示されているのは、九十九里浜で使用されていた、エンジンつき木造漁船。

棚板(側板)は二階造り、カブトムシの角のように、細長いミヨシ(船首材)が印象的です。全長14m、全幅2.6m。昭和40年代初頭の建造。片手地引網の展張に、使われたとのこと。

FI2617592_4E.jpg漁船を、艫(トモ、船尾)から見たところです。
板状に張り出した外艫(そとども)の後端に、船名が彫りこまれ、塗料でなぞられています。「カギセ丸」と、読むのでしょうか。

この手の漁船は、海上繋留をせずに、浜に引き上げて保管するため、スクリューを破損しないよう、プロペラシャフトの後端は、ユニバーサルジョイントとなっていて、甲板上から軸受けを引き上げることで、上下できるような構造になっています。

写真にも、スクリューが取り外されたシャフトと、甲板から垂直に降りた、軸受けが見えますね。

FI2617592_5E.jpg到着したのが昼遅くだったので、まずはお腹を満たそうと、レストラン「海王」に直行しました(笑)。ちょうど、ランチタイムとのことでしたので、中華バイキングを注文。時間制限つきの食べ放題です。

東京港西水道を、晴海から羽田まで180度展望できる、フネ好きにとっては、すばらしい眺めのこのレストランがあることも、当館に吸い寄せられる理由の一つです。

注文時間の札が、テーブルに置かれたのを見ると、「食べ残しは××円申し受けます」との注意書きが…。
これで思い出したのは、祖父の代からの付き合いがある、実家近くの一膳飯屋のこと。

お客がゴハンを残すと、主人が大きな声で「残さず喰え!」と怒鳴ることで有名でした。誤解のないように書いておくと、食欲がなければ、「ゴハンを少なめにして」と注文すればいいのですが、つい欲張ってしまう人もいたのでしょう。
主人が引退してからは、表現はソフトになったものの、たまに暖簾をくぐると、「キレイに召し上がれ!」という職人の声が、今でも聞こえてきます。暖簾分けした店も同様で、主人の遺徳は、かつての若い衆に沁みわたっているようでした。

話を戻して…札に書かれた注意書きを読んでから、連れと二人で、「さすがは、旧船舶振興会の肝いりでつくられた博物館だけある、キチンと言うべきことは言うのだな!」と、大いに感心した反面、「こういう注意が、書かれているということは、そういう人が、あまりに多くなった、ということか…」と、暗澹たる気持ちになったりと、複雑な思いで箸を進めたのでした。

スミマセン、あまり関係のない話題で…。

(18年11月12日撮影)

(『吸い寄せられる場所…2』につづく)