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魅惑の水郷…5

FI2617478_0E.jpg(『魅惑の水郷…4』のつづき)
注水が終わって扉が上がり、先着のサッパから順に閘室を出ます。例によって、扉から落ちるしずくを警戒し、カメラを懐に隠し、首をすくめたのですが、扉が小さいせいか水切りが良く、ほとんど被害なし。
外ではすでに一艘のサッパが、接岸して扉の開くのを待っていました。

常陸利根川の水面に出てから、加藤洲閘門を振り返ると、扉には水郷の象徴、菖蒲が描かれていました。水門の扉に、絵が描いてある例は多いですが、これはなかなか洒落ていて、別格という感じがしました。

小さくても、気配りの行き届いた加藤洲閘門…もしかしたら、日本で一番オシャレな閘門かもしれませんね。

FI2617478_1E.jpg常陸利根川の水面に出ました。
霞ヶ浦から外浪逆浦までの、決して長くはない流れですが、豊かな水を湛えた川面の雄大さに、さすが水郷の顔と、感心したものです。

対岸は潮来、水郷観光の拠点であるホテル街があり、河岸沿いは華やかな雰囲気です。薄緑色の水門は、潮来の目玉である前川を守る、前川水門。細長い箱のような扉は、シェル式ローラーゲートという形式のスマートな扉体で、やはり観光地ならではの気遣いが見えますね。

船頭さんによると、前川にも「新十二橋」があるとのこと。うーん、この調子だと、そのうち近所の川に、「新々十二橋」「本家十二橋」(笑)とか、どんどんイミテーションが増えたりしませんかね?
撮影地点のMapion地図

川の中央に出て西進し、潮来大橋をくぐります。いや、爽快爽快。自分で舵を握っていない分、周りの風景をめでる余裕がありますわ…。(欲を言えば、自分で舵を取りたい気持ちはあるのですがね!)

FI2617478_2E.jpgおや、たくさんのプレジャーボートが…。
一見、単なる船溜りかな、とも思ったのですが、陸置保管艇があるようなので、マリーナで間違いないでしょうね。なにしろ、広大な内水面を擁する水郷地帯、たくさんのマリーナがあることでも有名です。
こういうマリーナで、ボートレンタルしていたら、借りてみるのも楽しいかも…。

我々のサッパは、徐々に速度を落とし、左に舵を切りました。進路の先には、加藤洲閘門によく似た、やはり小型の閘門が。周りにはほとんど建物がなく、ポツンとした感じなのは、だいぶ雰囲気が異なりますが。
大割閘門というそうです。
「あそこを通るの?」「そうだよ~」と船頭さん。いや~、二つも閘門を通れるなんて…。「一粒で二度おいしい」とはまさにこのこと、本当に乗ってよかった!

船頭さんによると、繁忙期は、二つの閘門を通って一周などせず、十二橋の往復だけで済ましてしまうそうで、そういう意味でも幸運だったようです。

FI2617478_3E.jpgいま一艘のサッパと、大割閘門の閘室に進入。排水が済むまで、二艘の船頭さん同士が、お国訛りで四方山話をしていました。のどかな空気が、よりいっそうノンビリする感じです。

加藤洲閘門に比べると、ご覧のとおりぐっと簡素で、側壁はコンクリート打ちっぱなし、操作用の把手を納める樋も、パイプのみと実用一点張り…イヤ、これが普通ですね。
二つの閘門を見比べて、船頭さんの言った、繁忙期は十二橋の往復のみ、というのがなるほどと実感できました。こちらはあくまで、閑散期のオプションコースなのでしょう。もちろん私にとっては、もう楽しくてたまらないコースですがね!

我々の後から、バス釣りのプレジャーボートも入ってきて、こちらは一般の艇も通れることが解りました。先ほど与田浦で見かけたボートも、こちらから入ってきたのでしょう。
撮影地点のMapion地図

FI2617478_4E.jpg大割閘門を出ると、与田浦側には、お客さんを乗せた5隻を下らないサッパが、長蛇の列をなしていました。これで繁忙期ではないのだとしたら、書き入れ時には、一体どれほどの舟が、この閘門を通るのでしょうか…。
ちょっと見てみたい気もします。たくさんの舟に通ってもらって、もし閘門に心あらば、冥利に尽きると、涙をこぼすかもしれません(笑)。

閘門の隣は、小洒落た住宅だとばかり思っていたら、排水機場でした。こういうあたり、この町の人はほんと、気配りが細やかだなあ。

あとは、ほぼ一直線の水路を、一路与田浦へ。
コンクリート法面の護岸ですが、広々とした風景の中を走る、美しい水路です。
地面と水との距離が近いのも水郷らしく、行き合い舟も多く活気にあふれるさまは、現在進行形で必要とされている水路を実感させました。
どちらかというと、閑散とした水路ばかり走ってきた自分には、そこがなんとも嬉しく、幸せな気分になったものです。

(18年5月4日撮影)

【20年1月14日追記】大割閘門を通って、与田浦に至る水路は、大割水路というそうです。

(『魅惑の水郷…6』につづく)