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魅惑の水郷…4

FI2614791_0E.jpg(『魅惑の水郷…3』のつづき)
橋かと思ってふと見上げると、藤棚が。青空をバックに、よく手入れされた藤が映えてなかなかきれい。これも、十二橋のうちの一本なのかしら?
そういえば、水路の素晴らしい風景に、すっかりのぼせ上がって、橋を数えるのを、忘れてしまっていました…。

江戸時代に、十二橋を初めて紹介した、「利根川図誌」(岩波文庫より、最近復刻)によりますと、「加藤洲十二の橋は、川の兩邊に民家ありて、家ごとの通行橋也。もとより十二なるが、時として十三になる事あれば、また一橋闕くること極めて出來るとなり」とのことです。つまり、私的な橋なので、「十二橋」の看板通りにはいかず、増えたり減ったりすることもよくある、と。ちょっと楽しんでいる風にも読めますね。

下写真の橋は、護岸と同じような、石造りの橋台なのが、珍しく感じました。
大利根分館で買った、「利根川文化研究・8号(94年12月)」の、「『利根川図誌』と水郷十六島」(米谷博)という記事を読んだら、十二橋のかかる加藤洲地区は以前、道路が新左衛門川の東岸にしか設けられていなかったため、西側の家が、道に出るために各戸で橋を渡したのが、その始まりとありました。

FI2614791_1E.jpg左手に、先ほどのものより、少し広い舟入りが。家が迫っていないせいか、陽光が降り注いで、草も茂り、のどかな雰囲気です。こういうところに、自艇を繋いで暮らすのもいいなあ、などと妄想。
もしかしたら、かつてのエンマ(水路)を埋めた、その痕跡かも知れませんね。

舟入りの近くには、板に手すりを一本渡しただけの、簡素な橋が。かつての水郷の写真集にも、このタイプがよく出てきます。
船頭さんのお話では、少し前までは、こういう橋がほとんどだったのだが、近年、観光用にだいぶ架け替えたとのこと。まだ何本かは残っているので、昔をしのぶことができます。
そういえば、護岸を木の杭と板から、石積み(大谷石だそうです)にしたのも、平成になってからだとか。雰囲気をなるべく壊さずに、つねに整備を怠らない姿勢には、頭が下がる思いです。

水路はゆるい右カーブを描き、木や生垣が行く手を隠しています。十二橋の水路は、思ったよりカーブが多く、家並みや生垣で見通しをさえぎられるので、次に何が出てくるか解らず、ドキドキさせてくれる面白さがありますね。

奥に見える橋には、また看板がかけられているようです。
「ここからエンジンをかけてよろしい」という看板かな?だとしたら、出口も近いのでしょうか。

FI2614791_2E.jpgいきなり閘門です

木の影になっていたので、まさに唐突とも言える、出現のしかたにまず驚きました。
さらに、周囲を民家と橋に囲まれた、余裕のないギッシリ具合が、まるで住宅密集地の路面電車のようで…住人の方には失礼ながら、私にとって、こんな楽しい「国道のある風景」ならぬ「閘門のある風景」は、かつてありません。
しかも、このコンパクトにまとまった、閘門らしからぬ可愛らしさは、どうでしょうか!たたみかけられるように、同時多方向から意表を突かれ、手放しではしゃいでしまいました。
ううん、十二橋、あなどれない…。最後までやられっぱなし(?)とは!
撮影地点のMapion地図

FI2614791_3E.jpgこの閘門、加藤洲閘門といって、ウェブ上でも何度か紹介されており、その存在や、門扉の形は知っていたのですが、まさかこんな素晴らしい(笑)ロケーションとはつゆ知らず、いやホントに、ビックリするやら嬉しいやら。

すでに先着のサッパが一艘いて、右の壁に貼りつくようにして、閘門から出てくる舟のために、道をあけています。
通船操作は、左の写真にある、吊り皮のような把手を引いて行います。船頭さんによると、ふだんは無人だが、繁忙期になると人が一人ついて、操作してくれるとのこと。
やがて、可愛らしい扉が上がると、中から行き合い舟が続々と出てきました。対岸の潮来から来たのでしょうか、やはり開放型の舟は、我々だけのようです。

FI2614791_4E.jpg閘室は、外から見た印象より広くできていて、一回の操作で、サッパ10艘くらいは楽に通過できそうでした。
さすが、景勝地水郷と思ったのは、閘室の側壁が、緑色のタイルで飾られていること。右上に立てられた、「水郷佐原」の標柱も派手過ぎず、観光地らしい心遣いが感じられました。

プレジャーボートで、この閘門を通れるかしらと思ったのですが、閘門だけならまだしも、新左衛門川の水路が、今までご覧に入れてきたとおりですから、全幅のあるボートでは、まず無理ですね。
やはり十二橋と加藤洲閘門は、サッパの天下なのでしょう。和船しか通れない水路!いいなあ。

考えてみると、ひとのフネで閘門を通過する(笑)のは、これが初めてだなあと、変なところで感慨深いものが…。
水位差は約1m、扉の向こうは、霞ヶ浦の落とし水を湛える、常陸利根川です。

(18年5月4日撮影)

(『魅惑の水郷…5』につづく)