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通り初め…2

FI1933487_0E.jpg(『通り初め…1』のつづき)

水流が次第に弱まると、電光掲示板の表示が「水位調整完了」に変わり、さらに「ゲート稼動中」になると、ワイヤーを緊張させて、最初はゆっくり、次第に速度を増して門扉が上がり始めました。

このあたりのディテールは、すでに画像を掲載済みですので省略し、電光掲示や指示を中心にご紹介させていただきます。

FI1933487_1E.jpg門扉が水面を離れる瞬間、ガボッ、ズオーと水を切る音がし、ザーザーと滝を作りながら、さらに上昇してゆきます。

いままで、何度も目にしたシーンですが、これから閘門を通過する、艇の上から見ていることを思うと、感激もひとしおです。
門扉がすっかり上がったところで、信号は青に変わり、電光掲示板も「通航可」を示しました。さて、もやいを解いて、閘室に入るとしましょう。オープントップですので、門扉から落ちてくるしずくが、少々気なりますが…。

FI1933487_2E.jpg閘室内に入ると、スピーカーから「チェーンに繋留を完了したら、手を上げて知らせてください。現在、荒川と旧中川の水位差は、約1.5メーターです。」との指示がありました。

側壁からU字型に垂れ下がった、チェーンに繋留する場面は何度も見たので、水位が下がっても引っかからないように、もやい結びで輪を作って、繋留すればいいだろうと思い、Bさんとゴソゴソやっていたら、再び放送。
「あ、あの…結ばないほうがいいと思いますよ…水位差で取れなくなりますから、ロープは引っ掛けるようにして、一方の端を手で持っていてください。」
なるほど、結んでしまったら、頭の高さになった結び目が、ほどけなくなりますものね。何度も見学していて、肝心なことを見ていなかったなと、ちょっと反省。親切なご指示、ありがとうございます。
「しかし、衆目の中、スピーカーで『あ、あの…』は良かったね!」と、Bさんとまたも大笑い。

FI1933487_3E.jpg管理棟に手を振って「繋留完了」を知らせると、再びバイパス管から水の抜ける音がして、水位がみるみる下がってゆきます。ちょうど水位尺の真横にもやったので、水面の下がるようすが、よく解りました。

閘室の中で、実際を体験してみると、外から見るほど、水流がひどいようには感じられませんでした。
他の艇がいなくて、注排水する側のバイパス管から離れていれば、他の閘門通過時同様、繋留しなくとも操艇だけで、十分安全な船位を保てるだろう、と思いました。もちろん、指示には従うつもりですが…。

今まで通過したことのある、江戸川閘門ではそもそもチェーンの繋留設備がなく(側壁上には係船柱があったかな?)、扇橋閘門では、あんまりチェーンに触りたくない(笑)状態で、閘室内では繋留をしたことがなかったため、正直今回は、ちょっと戸惑ってしまいましたね。
しかし、ロープの端を手で持っているというのは、今回のように同乗者がいればいいのですが、一人で来た時はちょっと難儀しそう…。

FI1933487_4E.jpg中川側門扉がすっかり開き、もやいを解いて微速前進。管理棟に向かって「お世話になりました!」と叫びながら、二人で大きく手を振り、水が抜けて峡谷のようになった閘室を後にします。
閘門管理の皆さん、朝早くから、こんな変わり者のためにアドバイスまでしてくださり、本当にありがとうございました。

閘門通過も初体験のBさん、「イヤ、ほんとにいいね!」を連発して感激の面持ちです。私も全く同感ですよ。なんべん体験しても、閘門通過には感動がありますね。

水面には、陸上交通のような坂道を作ることができません。水位差のある二つの水面にフネを通すにはと、昔の人が知恵を絞った結果が閘門ですが、これを最初に思いついた人は、大した頭脳の持ち主だったのだろうと、よく想像します。
わが国にも、見沼通船堀があるように、それぞれの国で、似たようなモノが独自に着想された形跡があるので、「誰が発明して、それが全世界に広まった」というたぐいのものではないのかもしれませんが、私はなぜか、電車やクルマに乗ったときでなく、閘門を通った時に限って「人間の知恵というのは、大したものだなあ」と、感心してしまうのです。

建設時から繰り返し掲載したので、だいぶ辟易された方もおられるかも知れませんが、私の荒川閘門についてのご報告は、これでひとまずお仕舞いです。
読んでくださった皆さん、ありがとうございました。

さて、閘門の向こうは、江戸以来の伝統ある、江東運河地帯です。荒川閘門の完成と同時に、こちらにも荒川同様の通航規則が定められ、標識が設置されるようになりました。
久方ぶりに小名木川を通って、高瀬舟や五大力舟の気分を味わうとしましょうか…。