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有明埠頭をめぐる…3

(『有明埠頭をめぐる…2』のつづき)
FI2618220_1E.jpg浮きドック群のいる、中防北東岸から若洲の方向に目をやると、見慣れた感じのする、機械の固まりのような船影が見えました。

以前も紹介した、港湾局の浚渫船「雲取」です。最近、定繋地である港南の岸壁に、姿が見えなかったので、どこに行っているのかな、と思っていたのですが、この水域で仕事をしていたのですね。
もちろん吸い寄せられて、有明からはますます離れてしまう始末。

FI2618220_2E.jpg真後ろから。左舷には、浚渫した泥土を運ぶ土運船「しゅんかい1号」が接舷しています。

浚渫船に前後があるの? と思われるかもしれませんが、海底を掘る、コンベア式のバケットがあるのが前で、写真にも見える、船を固定するスパット(杭)が立っているのが後ろなのだとか。

左右に広げられたデリックは、アンカーブームと呼ばれるそうで、ワイヤーの先には錨があり、これをたぐったり伸ばしたりすることで、スパッドを中心にして、船を左右にスイングさせることができます。

FI2618220_3E.jpg接舷している土運船「しゅんかい1号」は、「雲取」と対照的に、よく目立つ明るい塗装。900立米の船倉を持つ本船も、「雲取」の浚渫能力をもってすれば、1時間で一杯になってしまうのだそうです。

この日は日曜日でしたから、もちろん作業はお休みだったのでしょうが、一旦仕事が始まれば、2隻ある土運船は、処分場との間を忙しく往復しなければ、とても間に合わないはずです。

FI2618220_4E.jpg「鋼鉄の城」の司令塔たる、船橋部分をアップで。
これだけ立派なブリッジがそびえていても、推進プラントを持たない「雲取」は、船舶とは見なされておらず、台船に搭載された「事業用電気工作物」という扱いなのだそうです。

雲が厚くかぶさる、あいにくの天気でしたが、むしろ「雲取」の名にふさわしい、厳しい雰囲気が味わえたような気がしました。

FI2618220_5E.jpg曇天をバックに雄々しくたたずむ、「雲取」を堪能して、もうおなか一杯…。

さて、雨に見舞われないうちに、有明埠頭を一周してしまいましょう。
撮影地点のMapion地図


(20年9月28日撮影)

(『有明埠頭をめぐる…4』につづく)

ヴッパータールの表紙

FI2618218_1E.jpg少し前のことになりますが…。水門写真家・佐藤淳一氏のブログ、「Das Otterhaus」の記事、「懸垂式の聖地・ヴッパータール」を拝見して、見覚えのある風景に、思わずあっと声をあげました。

と言っても、私はヴッパータールの街に行ったことはありません。このモノレールが描かれた表紙の古本を、ずいぶん前に手に入れたことを思い出したのです。

佐藤氏の写真を拝見して、その古本の表紙絵と見比べてみたくなりました。ごそごそと数回の家探しの結果、先日ようやく発見できたので、佐藤氏のブログにトラックバックさせていただきます。

件の表紙の本は、「子供の科学」の昭和7年6月号でした。
河上をまたぐ鉄の橋脚に架設された、これまた鉄の線路にぶら下がって疾走する電車…、当時からすればまさに「科学の具現化」(?)にひとしい、斬新な光景に映ったことでしょう。

絵柄の面白さもさることながら、この時代の活版(オフセットはまだ、ほんの一部しかないころです)多色刷りの色彩の鮮やかさ、仕上がりの素晴らしさに、久しぶりに目にしたこともあって、しばらく見入ってしまいました。絵の表紙は、写真にはない味わいがあって、実にいいものです。

表紙画の解説を読んだ覚えはなかったので、改めて目次を探してみると「表紙 架空電車 中川巌」とだけあり、残念なことに、やはり本文記事はなし。
これがドイツの風景を描いたものだとわかったのは、かなり後のことだったような記憶があります。

京浜運河や芝浦の運河沿いで、羽田通いのモノレールと併走するだけでも楽しいのに、懸垂式の電車が、腹を見せながら水路上を圧してすっ飛んでゆく面白さは、例えようがないものでしょうね。
モノレールが上空を走るこの川が、可航河川であるかどうかはわかりませんが、もし船で走ることができたら、電車が頭上を通るたびに、意識がぜんぶそっちに持っていかれ、舵がおろそかになるだろうことは、間違いありますまい!

今回、改めて眺めてみて思ったのですが、水路上の空間を利用して、高架式の陸上交通に用いるやり方、その嚆矢がヴッパータールなのではないでしょうか。
だとすると、昨今何かと話題になる、水路上をなぞって造られた東京の高速道路の、お手本となった可能性もあるように思えるのですが、いかがでしょうか…。

余談ですが、このころの「子供の科学」は、土木インフラや工場内部の図解記事が多く掲載されており、本号の本文記事にも、「インクラインとは何か」と題して、見事な多色刷り図解で、蹴上のインクラインが紹介されていたりと、水路バカ的にも垂涎の内容が少なくありません。

戦前の発行とは言え、技術や乗り物に関心の高かった時期だけに、部数も多く出回っているので、古書店や図書館などで探しあてるのも、そう難しいことではないと思われます。

有明埠頭をめぐる…2

(『有明埠頭をめぐる…1』のつづき)
FI2618219_1E.jpg青海・有明埠頭間の水面には、「アジアエース」のほか、船影なし。

有明の突端、フェリー埠頭まで行けば、何かしら見られるかも…。少し風が出てきて、さざ波の立つ海面をスロットルを開け、一気に飛ばします。

FI2618219_2E.jpgフェリー埠頭まで来ると、期待どおり1隻接岸中でした。

左手の信号所では、「F」の点滅(自由信号)を現示中。5000t以上の船は入出港禁止、その他は出入りしてよい、という意味です。

FI2618219_3E.jpg接岸中のフェリーは、オーシャン東九フェリーの「おーしゃん うえすと」。以前、過去の記事「平日の東京港は」で紹介した、「おーしゃん いーすと」の僚船です。

いつ見ても、船首のランプをだらりと垂らしているのが印象的。

FI2618219_4E.jpg有明埠頭の対岸、中防の北東岸に、何やら巨大なモノがひしめいている…。

初めて目にする、その異様な風体の一群に吸い寄せられて、タイトルとはうらはらに有明沿岸を一時離脱。質量過剰好きのハートわしづかみ物件、これを見逃す手はありますまい!

FI2618219_5E.jpg近寄って観察すると、浮きドックの一種であることがわかりました。ひとつひとつ、塗装も形も異なり、名前が書かれているものもあって、眺めるほどに興味をそそられます。中では何か、組み立てているようですね。

すぐそばで、新しい橋(過去の記事『臨海大橋の橋脚』ほか参照)が建設中であることから、橋に関係のあるものを造っているのかしら、とも考えたのですが、ドックの内容物の長さからして違うようですし、わざわざドックを持って来てまで、造る理由が見当たりません。
撮影地点のMapion地図

帰宅してから、あれこれ検索してみると、「新海面処分場GブロックRCケーソン製作」(株式会社 不動テトラ)および「新海面処分場建設工事RC ケーソン進水・曳航・仮置作業のお知らせ」(PDFファイル)がヒット。
なるほど、処分場を沖合に拡張するためのケーソンを、ここで造っているわけですね。後者は平成18年の記事ですが、同様の工事が、今も断続的に行われているのでしょう。

ここでまた、ハタと思い出すものが。過去の記事「平日の東京港は」で紹介した、有明に沿って浮いていたケーソン群、やはりここでこうして造られて、有明沖で進水したのでは…。
上のPDF記事中にある「ケーソン進水位置」と、ぴったり符合します。
浮きドックたちは、過去もここで何度か集まっていたにもかかわらず、ボンヤリしていた私が、見逃していただけなのかもしれませんね。


(20年9月28日撮影)

(『有明埠頭をめぐる…3』につづく)

有明埠頭をめぐる…1

(『有明西運河…3』のつづき)
FI2618217_1E.jpgせっかくですから、有明埠頭(正確には『10号地その2』かな)を一回りして、曇り空の下、東京港の表情を見て回ることにしましょう。

まずは右に舵を切り、有明埠頭橋を後ろに見て、青海・有明の両埠頭にはさまれた水面へ。

FI2618217_2E.jpgやはり一番に目を引かれてしまうのが、パレットタウンの大観覧車。

パレットタウン 大観覧車」(『大観覧車の歴史』が読み応えあり)によると、高さ115m、ゴンドラ64台、1999年竣工とのこと。






FI2618217_3E.jpgゆりかもめの青海駅前には、船着場もあります。

こちらの船着場は、水辺ラインの管理かしら?
はじめさん、お手数ですが、ぜひご教示ください(笑)。




FI2618217_4E.jpg青海のお台場ライナー埠頭には、本船が一隻接岸中。

RoRo船ですね。スターンを見ると、パナマ船籍の「アジアエース」。
「Carim Engineering」、「精密機器専用船」と、舷側に大書きされています。


FI2618217_5E.jpg前方から。水線近くには錆の筋が目立ち、船首にも錨鎖で擦った跡が見られるなど、少々くたびれた風情ですが、なかなかスマートな船ですね。

商船ファンである、portoftko うみくま氏のブログ、「うみくまの東京港撮影記」によると、前の船名は「かりゆし おきなわ」、6.635tとのこと。前身はフェリーだったのですね。
撮影地点のMapion地図


(20年9月28日撮影)

(『有明埠頭をめぐる…2』につづく)

有明西運河…3

(『有明西運河…2』のつづき)
FI2618216_1E.jpg首都高湾岸線前後の、超過密地帯を振り返って。手前の青い桁橋は、今一本の有明橋ですね。

いや、このギッシリぶりは、東京広しと言えど、なかなか見られるものではありますまい。思わず、大きく息を吐いてしまいました。


FI2618216_2E.jpgこれは…、水道管を渡しているのでしょうか。ピンクの塗装が、ひときわ目立つ三弦橋。道路橋でなくとも、こうも桁橋にたたみかけられると、トラス系の構造に、何だかホッとしてしまいます。

橋脚の状態から見るに、この橋が一番古そうな感じですが、いかがでしょうか。

FI2618216_3E.jpg三弦橋に隣接する、青い桁橋は、その名も青海橋。真下の地下には、臨海高速線が通っているのですね。この橋、航空写真をよくよく見ると、前後の道路がつながっておらず、廃道のような雰囲気です。

検索してみると、「お台場に地図にない橋がある」(PROMPT)がヒット。幸薄かった橋への愛惜があふれた、素晴らしい記事なのですが、それによると、昭和62年ごろに竣工したものの、平成6年には、早くも供用を止められたとのこと。人や自転車は、今でも通れるようですが、道路橋としては、実に短命な橋だったのですね。

FI2618216_4E.jpg薄幸な青海橋とは対照的なこちら、夢の大橋。

SF的な造作の、展望スペースや橋灯が目を引きますが、何よりこの、決して小規模ではない橋が、人道橋であることに驚かされます。台場・青海をつらぬく大散策路、センタープロムナードの一部を成す橋でもあります。



FI2618216_5E.jpg道路橋としての最終橋、あけみ橋と、ゆりかもめの高架橋が、有明西運河の出口です。その向こうは、有明埠頭が横たわり、丁字流となっています。

さて、運河入口の首都高や、ジャンクションの取り付け道路、それに電路・水管橋、ゆりかもめを含めた、本運河に架かる橋の数を数えてみると…。ざっと15本。およそ、90mに1本の割合で、橋が架かっていることになります。
水郷の加藤洲十二橋もかくや、と言っても大げさではありますまい!
撮影地点のMapion地図

(20年9月28日撮影)

(『有明埠頭をめぐる…1』につづく)