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米島船溜

(『米島閘門…2』のつづき)
FI2617964_1E.jpg米島閘門を堤防道から撮っていると、南方に、小さい水門の姿が見えました。

近づいて写真を撮ろうと、ほてほて歩いてゆくと……、水門の脳内優先順位が、音を立てて急降下し(笑)、堤防の内側に広がる風景に、釘付けになってしまいました。

あ、ちなみにこの水門、「米島船溜り樋門」と言って、昭和55年3月竣工だそうです。(投げやりで、申しわけありません)

FI2617964_2E.jpgこのイイ感じの船溜に、ハートわしづかまれてしまったからです!
写真右側に、小さく米島閘門が写っていることから、位置関係がおわかりいただけると思います。

珍しい、三角形のささやかな水面の広がりに、まずツボを突かれ、手前の頂点にはインクライン式上架設備、奥の一辺は邸宅と、周囲のレイアウトも魅力的…。
平らで低い土地のせいか、まるで箱庭のようでもあり、堤防の外側は大荒れであることを思うと、まさに別天地のおもむきでした。

FI2617964_3E.jpgここは、閘門と同名の米島船溜といい、漁船向けに造られたもので、もちろんプレジャーボートの利用はできません。

しかし、この安穏とした空気に包まれた、三角のポンドを眺めていると、北浦や鰐川を巡航した帰りに、ここに入ってお弁当を広げたら、さぞかし楽しいだろうなあ…などと、妄想が次々と浮かんできて、立ち去りがたいものがありました。


FI2617964_4E.jpg三角形の奥の頂点から、樋門を望んだところ。 
もう見事なほどに三角! この頂点の部分を埋めるように、ベカ舟を数艘、ぎゅっと詰めてもやいたい衝動にかられました(?)。見てください、この水面の近さ! 嬉しくなりますね。

おそらく、道路をよけて設けられたために、三角になったものと思われますが、堤防ができる前は、ここも河道の一部で、道路は、かつての水際線だったのかもしれませんね。

FI2617964_5E.jpg一方の頂点にある、この上架設備と門型ホイストが、この船溜を完結性の高いものにしており、箱庭的な魅力を、いや増しているように感じました。
簡単なものでも、修繕施設があるのは、見ているだけの側からしても、何だか安心感があるのですから、不思議なものですね。

船溜の周囲は、ゴミもほとんど見られず、ありがちな、道具類が山積みになっているということもなく、さっぱりと片付いていました。船影が少ないのは、ちょっと寂しくはあったものの、管理組合の方が、まめに手入れされていることが見て取れ、この船溜が、ますます好きになったものです…。

(20年2月10日撮影)

(『米島の廃水門』につづく)

米島閘門…2

(『米島閘門…1』のつづき)
FI2617963_1E.jpg鰐川に向かって、右側の門柱にあったメーカーズプレート。
竣工して14年の、まだ若い閘門です。

おや、米島閘門も、径間が2.8m…大洲閘門と同じ幅です。この寸法、何か理由があるのでしょうか。





FI2617963_2E.jpg左側の門柱に掲げられた、このプレートを見て、先ほど触れた、黒い小さな扉体の正体がわかりました。樋門を併設した閘門だったのですね。
通船だけでなく、鰐川から前川に導水する役割も、担っているわけです。

水門に併せて設けられた、「水閘門」というのはよく見られますが、それの超小型版と言うべき「樋閘門」(?)は、とても珍しい存在ではないでしょうか。

FI2617963_3E.jpg堤防の上に上がって、南側からの全景を見たところ。

雄大な鰐川に面して立つ、薄緑色の操作室をいただく閘門は、川面を走る船にとって、よい目標になることでしょう。




FI2617963_4E.jpg鰐川の水辺に降りてみました。川面は強風に煽られて、一面に三角波が立っており、砕けた波頭が点々と白く見え、もちろん船影はありません。

はるか向こうに、先日、鹿島神宮を訪ねたときに渡った、神宮橋を望むことができました。


FI2617963_5E.jpgこ、これは…?
扉体近くの側壁上に、なぜか花嫁人形が……(怖)。ここで水難があって、誰かがお供えしたのでしょうか。

強い風が襲うたび、カタカタと倒れそうに揺れており、いずれ水に落ちてしまいそう。何だか、寒がって震えているようにも見えてしまい、あれこれ考え出すと、こちらも震え上がりそうです。
心の中で手を合わせ、早々に退散しました…。


(20年2月10日撮影)

(『米島船溜』につづく)

米島閘門…1

(『大洲閘門の近くに…』のつづき)
FI2617962_1E.jpg雲が目まぐるしく流れる下、水郷らしい開けた風景の中を、前川沿いに東へ進むこと15分。

前川と鰐川が、接する地点を目指します。お目当てはもちろん…。



FI2617962_2E.jpg閘門です!

門柱の背が高いため、操作室の姿は、かなり遠くからでも望むことができ、最後のカーブを曲がった瞬間、全貌がヌッ、といった感じで現れました。

ここも穴場なのでしょう、楽しそうに話しながら、釣りに興じる人たちが数人おり、クルマも何台か停めてあって、閘門らしからぬ賑やかさです。
しかし、構造の大きさの割には、扉の径間がえらく小さく、右に片寄っているのが変わっていますね。左にある、黒い小さな扉体は何でしょう。閘室に、注排水するための扉かな?
撮影地点のMapion地図

FI2617962_3E.jpg鰐川側から見たところ。操作室が、頭でっかちなせいもあり、扉の狭さが際立ちます。大洲閘門と、あまり変わらないように見えました。

竣工が新しいだけあって、閘室内の設備は充実しており、ゴム製の防舷物や、係船用チェーンが側壁に備えられ、二つの階段もついているなど、十六島の加藤洲閘門(過去の記事『ふたたび水郷へ!…2』ほか参照)にも劣りません。

FI2617962_4E.jpg上の写真と反対側、前川から鰐川方を。
両側の側壁に一つづつ、操作用の把手を収めた樋が見えます。水郷ではおなじみ、セルフサービスで自動運転ができる、近代的閘門なのです。

これを見ると、大洲閘門が自動化されていないのが、ちょっと惜しくなりますね。米島が好きなときに通航できても、大洲は人がついていなければ、通れないのですから…。
あちらの門柱には、銘板らしいものがありますね。後で見に行ってみましょう。

FI2617962_5E.jpgご参考までに、閘室内にあった説明書きを。

自らの手で、小さな閘門を開け閉めして、水郷をめぐる水路行…。楽しいでしょうねえ!魅力的な閘門を前にすると、このあたりに、母港を構えるボートオーナーの皆さんが、心底うらやましくなってしまいます。


(20年2月10日撮影)

(『米島閘門…2』につづく)

大洲閘門の近くに…

(『大洲閘門…3』のつづき)
FI2617961_1E.jpg大洲閘門のすぐ北、閘室を渡る道路をまっすぐ行ったところに、並んで立っている、二つの水門が見えました。

すわ、閘門か?
そんなうまい話はそうそうあるまい、と思いつつも、息せき切って、近くに行ってよく見ると…、やはり、どうもそれらしくありません。左側にいた釣り人さんに、びっくりしたような顔をされてしまいました。ごめんなさい…。
撮影地点のMapion地図

FI2617961_2E.jpgやっぱり、二匹目のドジョウはなんとやらでした。

低い堤防を貫通していることから、樋門かと思いましたが、門柱にあったプレートを見ると、なんと暗渠を名乗っていました。
このあたり、どういった部分で類別されているのか、詳しく知りたいものです。


FI2617961_3E.jpg谷原暗渠のかたわらに立っていた、河川管理境界の標識です。

谷原暗渠が開口する、この小さな川の名前は、「あんこ川」ですか…。
どんないわれがあるのか、気になって仕方のない名前ですね(笑)。

FI2617961_4E.jpg大洲閘門を離れ、前川に寄り添うようにして伸びる道路を、ひたすら東へ。視界右手には、常に前川の水面があるという、水路バカにとっては、まったくたまらない道です。

水面に浅瀬や岩は見えず、ご覧のとおり橋も、小舟艇の航行には充分な、桁下高がとってある…。
水郷の可航水路に共通する、船への優しさがにじみ出た川の表情に、ハートはわしづかまれっぱなし!

FI2617961_5E.jpg途中、小屋付きの桟橋にもやう、エンジン付き和船の姿も見ることができました。

前川の東端部は、まだ決して、船影が絶えたわけではないことがわかり、ちょっと救われた思いがしたものです。


(20年2月10日撮影)

(『米島閘門…1』につづく)

大洲閘門…3

(『大洲閘門…2』のつづき)
FI2617960_1E.jpg東側から、閘室をのぞきこんでみました。扉体の寸法からすると、意外と広く感じられます。閘門をはさんだ水位差は、0.5mくらいでしょうか。

側壁には、等間隔にアイ(鉄環)が取り付けられており、橋の下には、FRP製の小舟が一艘、寂しそうにもやわれているのが見えました。

FI2617960_2E.jpg東側ゲートのメーカーズプレート。

西側のそれと比べて、高さが0.7m低いようです。珍しいことに、正方形の扉体なのですね。




FI2617960_3E.jpg川辺に下りて、東側ゲートを見上げてみました。

水面にゴミのないせいもありますが、この角度から見ると、周囲の草むらもすさんだ感じがせず、古びた小閘門とよく調和した、風情のある水辺の景色に見えました。
電線や電柱がなければ、閘門がもっと際立った眺めになったことでしょう。

FI2617960_4E.jpg東側ゲートの向こう側に広がる、前川の川景色です。う~ん、これまたそそる、走ってみたくなる水路風景…。

明治時代の地図を見ると、ここから鰐川(北浦の末端部)に向かって、水路は大きくラッパ状に口を開き、ちょうど入り江のようになっていました。十六島同様、ここもまた、沖積低地を埋め立てた、人工の沃野なのです。
閘門近くの穴場とあって、釣り人さんの姿もちらほら見えました。
撮影地点のMapion地図

FI2617960_5E.jpg西側からの大洲閘門全景を、改めて。
閘室をまたぐ道路は、交通量がかなり多く、その賑やかさがかえって、古い閘門の寂しい雰囲気を、際立たせているようでした。

下利根にいくつか見られる、通航船からのセルフ操作で運転できる閘門のように、「近代化改装」したら、とも思うのですが…。管轄の違いからか、それを許されずに取り残されてしまった、この大洲閘門や仲江間閘門(過去の記事『仲江間の小さな閘門…1』以下のシリーズ参照)のような存在が、まだいくつかあるのかも知れませんね。

ともあれ、この古風な姿が、長くこの前川の地にあることを、願わずにはいられません…。

(20年2月10日撮影)

(『大洲閘門の近くに…』につづく)