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目黒川の橋づくし…9

(『目黒川の橋づくし…8』のつづき)
FI2617690_1E.jpg目黒通り・権之助坂の坂下に位置する、目黒新橋。
規模こそ違え、形式や全体の雰囲気が、神田川の聖橋によく似た、重厚なコンクリートアーチ橋。昭和8年に完成、平成8年にリニューアルされたとのこと。(参考『写真紀行 旅おりおり目黒新橋』)
昔、この橋をよく渡ったこともあって、個人的に「目黒川で最も格好の良い橋」と思い入れており、ぜひ一度、川面から仰いでみたい、と思っていたのです。
撮影地点のMapion地図

ところが、この少し前の地点より、水深が浅くなり始めたので、回転数を絞って、「もう少し、もう少し近づいて…」と、カメラを構えつつ前進していたら、ブルブルと軽い振動が…。

艇尾を見ると、ペラのあたりの水中に、水流で巻き上げられた黒い泥がもくもくと湧き出しており、魚探の感は、1mを切っていました。ペラが川底の泥に触れたのです。残念ながら、「橋づくし」の遡行もここまで。念のため、エンジンはすこしチルトアップしてあり、回転数もデッドスローまで絞ってあったので、被害はありませんでした。

光線の具合があまり良くなかったので、橋をくぐって、向こう側からも撮ってみたかったのですが、仕方がありません。満潮時まで待ったら、もう少し行けたかもしれませんね。

FI2617690_2E.jpgというわけで、以下は帰路のスナップです。

五反田大橋下流にある、小さな排水口。反射でよく写っていないのですが、上の白い看板には、「地下鉄地下水」と書いてあります。橋の真下を通っている、都営浅草線からのものなのでしょう。「目黒川の橋づくし…6 」のコメント欄で、amieさんが触れられているのが、これですね。

往路に見たときは、水が出ていなかったので、おそらく汚水マスに溜まった地下水が、一定量になるとポンプが作動して、排水されるような仕組みになっているものと、思われます。

FI2617690_3E.jpgさきほど、「目黒川の橋づくし…5」で、「どうビックリしたかは、後ほどご覧に入れましょう。」と書いた御成橋の、ビックリの瞬間をご覧に入れましょう。

なんと、桁側面に設けられたパイプから、ザーザーと噴水のように水が噴き出しているのです! 以前、佐原で見た水管橋、ジャージャー橋(過去の記事『佐原と小野川…1』参照)さながらです。

このままでは、ずぶ濡れになることは避けられないか? イヤ、左の岸ぎりぎりに進めば、避けられるかな…。などと考えながら近づいたら、ピタリと放水が中断され、二度ビックリ。たまたま、放水終了時刻に行きあわせたのか、または、監視カメラで見ている人がいて、艇の接近に気づいてくれたのかしら?

目黒川(Wikipedia)によると、「東京都下水道局芝浦水再生センターの下水処理水を8時30分と9時~21時の一時間ごとに散水」とありました。夏などは涼しげで、素敵でしょうね。でも、艇長さんたちはお気をつけて…。

FI2617690_4E.jpg河口まで戻ってきました。以前、運河めぐりのときにご覧に入れた、アイル橋を改めて。

第一橋である、東品川橋も撮ったのですが…。家に帰って確認したら、どういうわけかボケボケで、とてもここに掲載できる仕上がりでは、ありませんでした(泣)。痛恨事です! 次の機会に必ず…。
撮影地点のMapion地図

FI2617690_5E.jpg東品川橋は撮れていなかったのに、京浜運河の対岸、若潮橋はしっかり写っているのですから、なんだか、力が抜けてしまいます。

運河としての記憶を持つ、街中の可航河川。昭和30年代末には、曳船に引かれる屎尿運搬船として、利根川高瀬舟が、老骨に鞭打って最後の活躍をした、水運とは縁浅からぬ目黒川…。

都心部の川と違って、史料にはいまひとつ乏しい感のある目黒川ですが、訪ねるほどに、また調べるほどに、うまみの出てくる川でもあります。
撮影地点のMapion地図


(19年4月15日撮影)

(『4月15日の水門』につづく)

目黒川の橋づくし…8

(『目黒川の橋づくし…7』のつづき)
FI2617689_1E.jpg緑色の高欄が目立つ、市場橋。

荏原調節池のところで触れた、旧荏原青果市場にちなんだ名前でしょう。
撮影地点のMapion地図


FI2617689_2E.jpg市場橋の高欄をよく見ると、大八車があしらわれており、色彩もなかなかすてきです。

おとなしいタイプの、桁橋が多い目黒川ですから、水面から見上げると特に、こういう気遣いが嬉しいものですね。

FI2617689_3E.jpg市場橋の近くには、もう2つの橋が隣接しています。

亀の甲橋と、東急目黒線の高架橋。下流側からはうまく収まらないので、上流から、桜並木を入れて遠望してみました。


FI2617689_4E.jpg南に曲がる河道が、再び直線になると、桜並木越しに、空を圧するガラス張りの巨大なビルが…。目黒雅叙園の建物ですね。

両岸を台地にはさまれた、谷地に入ったせいでしょうか、先ほどから、時々吹いていた強い風が、突風となって下流側から吹き抜けてゆきます。まるで、ここしか風の通り道がない、といった感じです。

FI2617689_5E.jpg今回会いたかった橋の、ひとつに近づいてきました。太鼓橋です。鋼桁橋ながら、石張り風の装飾が施されているあたり、この橋が、今まで見てきた橋とは、違った出自であることを物語っていますね。

この太鼓橋、古くから目黒不動尊への参道として有名な、行人坂から下ってくる道を渡しています。
「江戸の橋」(鈴木理生著)によると、ここには明治中ごろまで、同名の石造アーチ橋が架かっていたそうです。造られたのは享保年間(西暦1716年~1735年)の末で、庭園にあるものを除くと、江戸近郊では唯一の石造アーチ橋でした。
「太鼓橋」とは、神社の境内にあるような(過去の記事『竪川睦』参照)、極端に中高の橋を指す普通名詞ですが、ここでは固有名詞になってしまったのです。言うまでもなく、アーチによって中高になった、その姿を側面から見ての命名でしょう。

前出の「運河論」にも、「改修区域の準用河川は太鼓橋下流で、上流は公有水面である」と、触れられており、かつての太鼓橋が、著名な構造物であったことがわかります。
昔の面影は、もちろんありませんが、桁橋の装飾に見られる心配りが、いにしえの賑わいをわずかに偲ばせるように思え、興味深いものがありました。
撮影地点のMapion地図


(19年4月15日撮影)

(『目黒川の橋づくし…9』につづく)

目黒川の橋づくし…7

(『目黒川の橋づくし…6』のつづき)
FI2617688_1E.jpg五反田大橋に隣接する人道橋、本村橋。上流より見たところです。

やはり桜並木が両岸にあり、盛りは過ぎたとは言え、水面は散り落ちた花びらがたゆたい、艇の航跡で白い模様を描きます。
撮影地点のMapion地図

FI2617688_2E.jpgズームを効かせて、名残の花たちを撮ってみました。
う~ん、思ったように撮れない…。腕が悪いのか、それともカメラが悪いのか(笑)。

距離を置いて眺めると、ふくらんだ小鳥が、たくさん枝に留まっているように見えます。


FI2617688_3E.jpg首都高2号目黒線と二段重ねになった、谷山橋。

暗渠の開口部があるせいでしょう、このあたりもちょっと臭います。
撮影地点のMapion地図


FI2617688_4E.jpg谷山橋をくぐると、右手には目黒川可航部のハイライト? 目黒川荏原調節池が、口をあけているのが見えてきました。写真は上流側より撮影。

この調節池は、荏原市場の移転にともない、その跡地を再開発して建設されたもので、平成3年着工、同12年に稼動開始したとのこと。貯留量200,000立米の巨大な空間に、増水時の水を飲み込み、一帯の浸水被害を防ぐという、大規模な水防施設です。

詳細は「目黒川荏原調節池建設事業」(PDFファイル、月刊建設03-08・全建賞・河川部門)や、「主要事業の進行状況報告書(平成17年度前期)」(東京都HP)に掲載されています。

FI2617688_5E.jpg調節池のちょうど対岸には、護岸に階段を設けた、船着場様の設備があります。昔からあるもののようですね。かつては何に使われていたのでしょう?

残念ながら、柵は閉鎖されているようです。こちらも、上流側から撮影しました。
撮影地点のMapion地図


(19年4月15日撮影)

(『目黒川の橋づくし…8』につづく)

目黒川の橋づくし…6

(『目黒川の橋づくし…5』のつづき)
FI2617687_1E.jpg五反田の駅にほど近いこのあたりは、なかなか賑やかです。前方に見える橋は、人道橋、ふれあいK字橋。

この橋、小名木川に架かる、「クローバー橋」(過去の記事『小名木川…2』参照)に匹敵する、変わった形の橋です。
どう変わっているかというと…。
撮影地点のMapion地図

FI2617687_2E.jpg上流側に2本、斜めに取り付けられた通路が分岐しており、ほんのちょっと近道ができる構造に、造られているのです。真上から見た形は、名前どおり「K」の字をしています。

写真は、裏側を見上げたところ。直線の主桁に、円弧状の桁を、寄り添わせたような構造になっているのがわかります。

FI2617687_3E.jpg川面はるか上空に架かる、東急池上線の高架橋。すぐ右は五反田駅です。
JR総武線の秋葉原付近や、東京モノレール同様、開通当初は、まさに天空をゆく電車のおもむきだったここも、ご覧のとおり、いまやビルの谷間から出入りする窮屈さ…。

しかし…こうして橋を拾ってゆくと、目黒川って、短い距離の間に、実に多くの鉄道橋がある川だなあと、改めて思いました。
撮影地点のMapion地図

FI2617687_4E.jpg大崎橋。
五反田駅前に接していることもあるのでしょう、この付近の橋には珍しく、白いパネルで桁まで覆われており、周囲を意識した装いです。



FI2617687_5E.jpg第二京浜を渡す、五反田大橋を遠望。この真下を、都営浅草線が通っています。
右手に、柳の並木が見えるあたり、かつての数寄屋橋付近を思わせる、繁華街らしい雰囲気です。

花見のシーズンほどではありませんが、水面には花びらが点々と浮かび、なかなか風流です。
ただ、護岸に開口する暗渠からの臭いが、風向きによって時おり流れてきて、ちょっと息苦しくなることがありました。
撮影地点のMapion地図

(19年4月15日撮影)

【21年10月20日追記】二段目、ふれあいK字橋の曲線桁部は、人が通れる構造にはなっていません。この後通ったときに気づきました。お詫びして追記します。

(『目黒川の橋づくし…7』につづく)

目黒川の橋づくし…5

(『目黒川の橋づくし…4』のつづき)
FI2617686_1E.jpg小関歩道橋の難所? を過ぎると、右側に、まだ散っていない桜並木が広がりました。写真の腕が悪いので、あまりきれいに撮れませんでしたが、見事な咲きっぷりに、ちょっと得した気分です。

え、えと、八重桜…だったかな?
例によって、花のことはまるで見当もつかない、無粋者の書くことです、間違っていたらごめんなさい。

FI2617686_2E.jpg上路式の、しかも一径間の桁橋ばかりで、ちょっと食傷(ごめんなさい)していたところへ、ようやく下路式の橋が登場、なんだかホッとしてしまいました。
細い桁の上に、アーチのついたランガー桁橋、鈴懸歩道橋です。

桁の中央には、橋名でなく「目黒川」と大書きされ、左右には「大崎1丁目」「東五反田2丁目」と、両岸の所番地が書かれています。…そういえば、この川の橋は、桁側面に橋名が書いていないものがほとんどですね。
撮影地点のMapion地図

FI2617686_3E.jpg朱色の桁が鮮やかな、御成橋。

一見、何の変哲もない鋼桁橋に見えますが…帰りに通ってみて、ビックリさせられました。どうビックリしたかは、後ほどご覧に入れましょう。


FI2617686_4E.jpg再開発区域の終端部に位置する、山本橋です。

中央の展望スペースと、高い橋灯が印象的ですね。
撮影地点のMapion地図



FI2617686_5E.jpg川が南に曲がる地点を、斜交いに渡るプレートガーダーは、山手線の上目黒川橋梁。ペンキ書きされた銘が読み取れたので、鉄道橋には珍しく、橋名がわかりました。
先ほど「目黒川の橋づくし…3」でご覧に入れたように、南に向かった山手線(複線ですから、こういう言い方も妙ですが)は、ぐるっとターンして、ここで再び目黒川を渡ります。
撮影地点のMapion地図

(19年4月15日撮影)

(『目黒川の橋づくし…6』につづく)