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通航ガイド2題

FI2169392_0E.jpg年末の雑事にかまけて、出航はおろか、艇の整備にも行ってやれない、陸船長の罪滅ぼし(?)として、すでにお持ちの方も多いとは思いますが、2冊の河川水路誌をご紹介します。

この2冊は、航路情報だけではなく、標識の意味や規制、関連する条例や処罰についても明記してあり、江東区内の水路や、荒川を航行する方は、目を通しておいて損はないものです。
略同の内容が、下掲の各サイトにも掲載されていますから、プリントアウトして携行しても良いのですが、やはり、冊子にされたものを眺める方が、航行計画を立てるのも、ゆっくり落ちついてでき、また読んでいるだけでも楽しいものです。
いずれも無料で配布されているものですから、お近くの方はマリーナや、都河川局または、国交省の関連施設(例えば荒川知水資料館)で入手できます。詳しくは、下記のサイトを通じて、発行元へおたずね下さい。

この類の水路誌は、恐らくわが国で初めて発行されるものですので、初モノゆえの、不慣れさが目に付くのは致し方ありません。
あまり、ぜいたくを言ってはいけないと思うのですが、あえて欲を言わせていただければ…特に「江東内部河川…」については、水深・可航幅の情報、これは船舶の安全に関わりますから、ぜひ記載していただきたかったと思います。橋桁下高さがすべて明記されているのですから、このくらいは不可能ではないでしょう。

また将来は、管轄の枠を越えて(これが難しいのでしょうが)、せめて江戸川から多摩川まで、東京全域の可航水路は、一冊の水路誌にまとめて、発行していただくのが理想的ですね。
さらに、無料配布物のかたちを採ると、遠方の人が入手しにくいことや、水路誌は定期的に更新する必要があることを考えると、やはり専門の団体(財団法人・日本水路協会)にまかせた方が、万事効率が良くなるような気がするのですが…。
もちろん、現状では、海洋・港湾と河川は、はっきりと区別されており、水路協会は、海洋の図誌を管理販売する会社ですので、実現したとしても、調整が難しそうではありますが…。


「荒川通航ガイド」
A4判 中綴じ 40ページ
発行:国土交通省 関東地方整備局 荒川上流河川事務所・荒川下流河川事務所
平成17年10月発行
(『ARA』の『荒川における船舶の通航方法のあらまし』でも、ほぼ同じ内容が閲覧できます。)
こちらはマリーナで配布されていたのを貰いました。発行年月より、だいぶ早く出ていたような気がします。


「江東内部河川通航ガイド」
A4判 中綴じ 32ページ
発行:東京都建設局河川部 指導調整課・計画課
平成17年10月発行
(『東京都建設局・河川部』の『江東内部河川における船舶の通航方法』でも、ほぼ同じ内容が閲覧できます。)
すでに、本年10月9日の記事「旧中川」でも触れましたが、荒川閘門の記念式典会場、都建設局のブースで配布されていました。
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水上バスの下敷き

FI2169331_0E.jpgだいぶ前の話で恐縮ですが、水上バス(東京都観光汽船)の、日の出桟橋で購入した、下敷き・鉛筆・消しゴムのセットをご覧に入れます。

昭和20~30年代でしょうか、いにしえの隅田川の風景や、水上バス船隊の船影をコラージュ風にあしらったもので、雰囲気に惹かれたというよりは、登場するフネブネのディテールに吸い寄せられ、もう横っ飛びに購入(笑)。
裏側は、隅田川の橋梁群の略図と、来歴をまとめた、言わばミニ図鑑になっています。
他のオリジナルグッズは、こちら東京都観光汽船HP)をご覧下さい。

この日、8月23日は、普段は横目で見つつ通り過ぎているばかりの、身近なフネどもに乗ってやろうと、午後の短い時間で、3隻をハシゴという船バカっぷり…。
お台場のゴーイングメリー号、お台場~日の出桟橋を水上バス「道灌」、日の出桟橋~浅草を水上バス「ヒミコ」…連れとともに、堪能はしたのですが、空模様はよろしくなく、断続的な豪雨に見舞われるありさまでした。

やはり、似合わないことはするな、という天の教えなのでしょうか。

沿海部の水路探索に…

FI2162394_0E.jpg世間一般では、モーターボートに乗っている人というと、まず、釣りを目的としている、と思うらしく、実際ボートでの釣り人口は多いのですが、私はなぜか、釣りにはトンと興味が沸きませんでした。

子供のころから、海が好きでしたので、磯での魚採りや、岸壁で手釣りをするといった遊びは一通りしましたが、それもボートに乗るようになると、まったくやらなくなってしまいました。
おかげで、魚の判別は、食卓に出されるもの以外、見当もつきません。とんだ「海の男」(でもなんでもないですね…)?もあったものですね。

そんな私が、書店に入って、たまに釣りの本のコーナーをのぞくようになったのは、釣り雑誌などのガイドが、時に河川の航路情報として、使える部分(ごく一部ですが)があることに気付いてからです。

以前ご紹介した、第三海堡の項でも書きましたが、釣り人さんの執着心というのはある種見上げたもので、普通の人が、絶対に足を踏み入れない危険な場所でも、釣れるとあらば、万難を排して赴くファイトには、いつも感心していました。
今回ご紹介する「海釣りドライブマップ② 東京湾ベイエリア」は、そこまでコアではないにせよ、沿岸や沖合いの防波堤、釣り舟などで、海釣りをする人のためのガイドマップとして、作られたものです。

内容ですが、東京湾沿岸を、久里浜港から上総湊まで、29のエリアに分けて見開きの地図とし、釣れる魚の種類はもちろん、クルマで入れる岸壁か、立入禁止か否かなど、情報をこと細かに掲載しています。
本書をボート乗り諸兄にお勧めする理由は、そんなオカの情報はさて置き、沿岸の状態や、航路情報が濃厚な点です。
「×m掘り下げ済み」と、航路の水深や、沿岸に近い浅瀬の水深と名称、岸の状態(岸壁、法面、テトラポッドなど)が、詳細に掲載されているのを見て驚き、改めて、釣り人にとっては、水深の把握が重要なことがわかりました。
東京湾奥部の水路探索は、特に東部水域に浅瀬が多く、小河川に進入する際、地元の人しか知らないような澪標を探し当て、恐る恐る入らなければならないなど、初めてですと緊張させられるものです。(それがまた、楽しみでもあるのですが…。)
船舶のための図ではありませんから、澪標や、ブイまでは記載されていませんが、沿岸航行に、充分役に立つレベルの情報が書かれています。既存の海図・参考図と併せて、使われるとよろしいでしょう。

一つ難を言えば、地図の天地が方角を基調(北が上、南が下)にしておらず、岸から海を見る形で描かれているため、エリアによって方角が変わるので、慣れないと使いづらい点でしょうか。
ともあれ、私のように、GPSチャートを塔載されていない方、またミニボートオーナーの方に、特にお勧めの一冊です。

海釣りドライブマップ② 東京湾ベイエリア
B4判 中綴じ
14年5月初版(写真は17年9月5刷) 定価税込¥1,575-
発行:つり人社

東京の鳥瞰図

FI2125380_0E.jpg私が時々のぞく大型書店にある、地図のフロア入り口の壁に貼られた、東京の鳥瞰図の素晴らしさが、以前から気にかかっており、前を通るたび、数分間は見惚れていました。

少なくとも、すぐに必要なものではありませんでしたので、「欲しいけど、貼る場所が思いつかないなあ…。」と、あきらめる日々が続きましたが、昨年、現在の場所に引っ越してから、玄関にちょうどよいスペースができ、また、連れが気に入ってくれたのも手伝い、購入することにしました。

自宅で、改めてしげしげと眺めてみると、書店で立ち見をしていたとき以上に、ディテールの細かさ、美しさが目に沁みるようで、鼻っ先を近づけて、つい時の経つのを忘れてしまうほどです。

ここでご紹介したからには、お気づきとは思いますが、東京とその近郊の水路を、地勢や目標となる建物も含めて、一覧できるという意味でも、水路航行や、川歩きがお好きな皆さんに、ひろくお奨めできる絵図と言えるでしょう。

この鳥瞰図を購入して、一年くらいになると思いますが、過去に巡った水路での出来事を反芻したり、次に行ってみたい水路の様子をあれこれ想像したりと、イマジネーションはふくらんで、飽きることがありません。

絵図の範囲が、江戸川から横浜港まで、我が艇の主な行動範囲と、ほぼ一致するという点も気に入っています。日本規模、世界規模で考えれば、それはささやかな行動範囲に過ぎないのでしょうが…。
朝な夕なに、この鳥瞰図を眺めるにつけ、毎回思うのは、東京は、水路の面積が決して少なくない、いやむしろ多い街だなあ、ということです。
全国を見渡してみても、こんなにたくさんの可航水路に囲まれた都市が、ほかにあるでしょうか。子供っぽく、威張ってみたくなるような、そんな気持ちにさせてくれるのです。
私にとって、水路の都・東京は、充分過ぎるくらい素敵な街なのです。

この鳥瞰図の版元、GEO(ジェオ)のサイトはこちらです。通信販売も受け付けてもらえます。鳥瞰図の作者である、黒澤達矢氏の他の鳥瞰図もあります。

平成7年8月・江戸川…2

FI2105319_0E.jpg(『平成7年8月・江戸川…1』のつづき)
慣れない夜走りをして数時間、ようやく江戸川閘門に到着しました。

閘門の通航時間は午前6時から、午後6時まで(江戸川にはマリーナがあり、日曜も通船があるので、休日はありません。)ですので、当然ながら、定宿にしていた東京湾岸のマリーナまでは、帰港することができません。結局、閘門前の水面で投錨し、夜を明かすことになりました。

マリーナに帰れないことが解っていながら、危険な夜間航行をしてまで、江戸川を下ってくるメリットがあったのか…当時の自分の精神状態を、説明するのに苦しみますが、流れのない、静かな水面が黒々と広がるのを見て、妙な安堵感があったのだけは、今でもはっきりと思い出すことができます。

ハッチに蚊帳をかけてランプを灯し、食事の準備をしていると、「ボツッ」と、スピーカーに電源の入る音がしました。オヤ?と顔を上げる間もなく、静寂を破る音量で、こうがなり立てられたのには驚きました。
「そこのボート、閘門の運転は、午後6時で終了しました。明朝午前6時までは通れません。繰り返します。閘門の運転は終了しました。明朝6時までは通れません」
いや~、お知らせ下さって恐縮です。承知しておりますよ! 監視カメラがあると思われる方向に、手を振って了解の意を示すと、気持ちが伝わったのかどうか、スピーカーは沈黙しました。

しばらく、碇泊灯の薄明かりの下で、レトルトご飯を温めていると、「おーい、おーい!」と、今度は岸から人の呼ぶ声が…。見ると、閘門の左の土手で、手招きしている人がいました。
あわててコンロの火を落とし、アンカーをたぐって、艇を岸に回してみると、その人はこう話しかけてきました。

「河口の方に行くのかね?」どうやら、閘門の職員さんのようです。
「ええ、そうですが…今日は遅いので、ここで泊まります」
「(閘門を)開けてやろうか?」これには驚き、かつ職員さんの心遣いが嬉しくもありましたが、いまから川を下っても、入港できるマリーナがありません。むしろ、ここで碇泊した方がいいだろう、と判断しました。
「ありがとうございます。折角ですが結構です。今晩は泊まって、明朝下ります。」
「そうかね、じゃ、明日の朝は6時に開けるからね。」
職員さんは、宿直の当番なのでしょう。土手を登って、管理棟に帰ってゆきました。

写真は、碇泊地から、見当をつけてバルブ撮影した、夜の江戸川閘門です。
当時のことですから銀塩のカメラで、デッキの上にカメラを置いて、あてずっぽうで何枚か撮ったところ、なんとかこの一枚だけ、あまりブレずに、見られる出来になっていました。
撮影地点のYahoo地図

FI2105319_1E.jpg夜が明けた直後の、江戸川水門(閘門の左に隣接)を撮ったものです。
普段の朝寝坊はどこへやら、目覚ましもないのに5時ごろに目覚め、ハッチから身体を引きずり出すと、川面のさわやかな空気を深呼吸しました。

実は、夜もなにごともなく過ぎたわけではなく、食事を済ませて、ラジオを聴きつつ夜景を楽しんでいたら、電池を換えたばかりのラジオが突然沈黙、成仏(笑)したことが判明したり、就寝してから、激しい流水音が聞こえ、艇が動いているのを感じて飛び起きたら、走錨して水門近くまで流されており、慌ててエンジンをかけて水門から遠ざかったり、といったことがありました。

水門が、一定の水位になると自動的に下端が開いて放流を初め、アンカーが水底近くの流圧に流されて動いたのか、それとも、単に水位が上がってオーバーフローが始まり、艇の方が流されたのかは不明ですが、とにかく肝を冷やしました…。

FI2105319_2E.jpgこちらは朝の閘門です。
早朝にもかかわらず、夏の強烈な日差しが、建物の壁を染めはじめ、静かだった川面が、次第にセミの鳴き声で、おおわれていったのを覚えています。
私は子供のころから、夏の朝が大好きでしたが、こんなに素晴らしい夜明けを迎えたのは、かつてありませんでした。

急いで朝食を済ませると、時計の針はすでに6時。閘門のサイレンが、朝もやの空に清々しく鳴り響き、私はアンカーを引き上げて、勇躍、艇を回しました。

利根運河すら見ることがでず、プロペラも曲げてしまったのは、正直、残念でしたが、それを補って余りある、素晴らしい「閘門の朝」(?)に、私はすっかり満足しました。
満足したせいか、単に私が淡白なせいか、これを最後に、私の「利根川行き」への執着は、無くなったのではないにせよ(最近は、インフレータブルでの攻略に、食指が動いておりマス!)、急速に薄れてゆきました。

こうして実際走ってみたり、この後文献を漁ってみたりして思ったことは、やはり通船が途絶して、半世紀近く経た江戸川は、例え無理をして走破したにせよ、決して「航路」と呼べるシロモノではない川に変貌して久しい、ということです。

興味が薄れたのは、これが身に染みて、理解できたからかもしれません。いずれ、世の趨勢が変わって、この川が曲がりなりにも、航路を意識した整備を施されるまで、待った方がよさそうだ、と。
私にとって、日本最大の内陸航路の復活は、妄想するだに楽しいことです。

もちろん、航路として整備されることが、沿岸の住民や、水道水利にとって、ベストであるとはとても思えないので、むやみに水運の活性化ばかりを叫ぶのは、厳に慎みたいと、考えているのですが…。

(この項おわり)