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ヒミコ

FI1758370_0E.jpg汐留川水門を出たとたん、強烈な南風と三角波で、艇は激しくピッチング、速度を落とさざるを得ませんでした。

私の艇は、21ft艇としては、わりと凌波性のいい設計なのですが、それでもバウが波頭に突っ込み、砕けた波はスプレーになり頭上から降り注ぎ、バウがすくい上げた海水が艇内に流れ込むほどでした。

そんなとき、日の出桟橋から出てきた水上バス「ヒミコ」が、難航する我々を尻目に、力強く隅田川を遡行してゆくのに行き合いました。

FI1758370_1E.jpgご存知の方も多いと思いますが、「ヒミコ」は、漫画家・松本零士氏デザインの水上バスです。
昔の爆撃機の、ブリュスター銃座のような窓が印象的な、まさに松本漫画がそのまま具現化したようなスタイルで、就航が報じられたときは、私も大いに胸をときめかせたものです。

写真は、1メートルもピッチングする艇上から、連れが苦労して撮ったものですが、宇宙船さながらの造作を持つ「ヒミコ」には、荒天を冒して突き進む、写真のようなシーンが、最も似合っているような気がしました。

FI1758370_2E.jpgようやく浜崎橋にたどりつきました。汐留川水門から、たった5~600メートルしか離れていないのですが、荒波にもまれたため、、まさにようやく、といった感じです。

ここは正式には、上流に渋谷川や、暗渠化した宇田川を擁する、古川の河口です。
「川」と名乗りながら、その実運河であったり、埋め立て時に残した水路が多い、東京の可航水路ですが、古川は珍しく、その名の通り歴史の古い、自然河川なのです。

FI1758370_3E.jpg新浜崎橋に近づいたところです。

何本もの橋や高架道路が重なって、さながらトンネルのように昼なお暗いのは、東京の水路のお約束ですが、臨海部は特に土地が限られていることもあり、交通が輻輳してしまうのでしょう。
こんな、少々無粋とも思える風情でも、ここは芝浦運河を中心とした、東京南西の運河地帯の玄関口なのです。

もちろん私が勝手に考えた分類ですが、地図を見ていると、隅田川・荒川・中川などを除いた、東京の可航水路は、4つのグループに別れているように見えます。

第一に、小名木川を中心にした、江戸以来の水路地帯、墨東地区。
第二は、神田川・日本橋川を有する都心の水路たち。
第三は、埋め立てとともに新たに広がった、江東区南方の大運河地帯。
そして第四は、今回訪問した、京浜・芝浦運河をメインラインに、古川から海老取川の間に展開する水路群です。

京浜運河は、以前から幾度となく利用していたのですが、古川や芝浦運河は初めてですので、近場にもかかわらず、久しぶりにワクワクした水路行となりました。
前述のとおり、お天気が心配でしたので、またも駆け足となりましたが、次回よりその結果を、お目にかけたいと思います。

水上バスの、東京都観光汽船のサイトはこちら

(17年8月21日撮影)

浜崎橋のYahoo地図

浜離宮

FI1756154_0E.jpg新月島川から、隅田川に出ると、おりからの強い南風のせいで、波長の短い三角波が立っていました。
このあとは、浜崎橋下から、芝浦運河に入ろうと思っていたのですが、この荒れ模様では、何分21ftの木っ端舟ですから、わずかな距離でもガブられそうなので、ひとまず浜離宮前の水路に入って一服することにしました。

浜離宮前には、2つの水門がありますが、これはそのうち向かって左側にある、汐留川水門です。
キノコのような、変わった形をしたケーシングのある、排水機場が併設されているのが目立ちます。

FI1756154_1E.jpg水門を入った正面には、汐留川が、浜離宮の左側面奥へ伸びています。
浜離宮の石垣や木立が水面に影を落として、厳しい残暑の日にはありがたい、涼しげな雰囲気です。

鈴木理生氏の名著「江戸の川 東京の川」によりますと、かつては日比谷・溜池まで通じていた、この汐留川も徐々に埋め立てられてゆき、戦後まで残っていた新橋駅付近までの掘割も、昭和29年から38年にかけて、5区画に分けて埋め立てられたそうです。現在は、浜離宮の周囲を残して、首都高速都心環状線になっています。

FI1756154_2E.jpg浜離宮前の水面を、北東方向を望んで撮影したものです。

遠方に、出港する水上バスが顔を出しているのが見えます。
盛んに汽笛を鳴らしているのは、これから見通しの悪い築地川水門を通過して、隅田川に出るので、外を航行する船舶に、注意を促しているのでしょう。

木立の中には、桜も多くあり、私は来たことがないのですが、東京付近のボート乗りさんたちの間では、お花見の名所としても著名とのことです。

(17年8月21日撮影)

汐留川水門のYahoo地図

新月島川

FI1754704_0E.jpg本日より、ようやく夏休みが取れました。

さあ、思い切り水路彷徨するぞと意気込んでいた矢先、台風が2つも北上中とのニュースが‥。よほど日ごろの行いが悪いに違いありません(笑)。
おっとり刀でマリーナに向かい、12メートルの強風と、大潮時の干潮という悪条件が重なる中、愛艇久方ぶりの出航となりました。

まず目指したのは、前回走り損ねた、新月島川です。
写真は、朝潮運河側から見た、新月島川の入り口です。

FI1754704_1E.jpg新月島川の中央にかかる、新島橋をくぐろうとしているところです。

先日ご紹介した、隣の月島川と同じく、朝潮運河と隅田川に挟まれた、ごく短い水路にもかかわらず、「川」を名乗っているのが妙ですが、両岸は堆積した泥や瓦礫が目立ち、水門近くに小さなマリーナはあるものの、繋留船舶は少なめで、月島川より少々うらぶれた感じがします。

変わった点といえば、この水路の真下を、地下鉄大江戸線が走っているということでしょうか。

FI1754704_2E.jpg隅田川に面した出口は、こじんまりとした浜前水門が守っています。

水門手前には、橋が併設されていますが、妙に厚さがなく、頼りなげなのが印象的で、下をくぐるときは、「折れたりしないかな‥」と、つい橋の裏側を見上げてしまいました。

手前右手はささやかなマリーナ、そして水門を出て左には、臨港消防署も隣接しており、私のようなフネ好きにとっては、なかなか見所の多い水門ともいえるでしょう。

FI1754704_3E.jpg隅田川に出て、待機する消防艇と一緒に、臨港消防署を撮ってみました。

水面に張り出して造られた建屋の真下に、3隻が収容できる繋留設備を有したその外観は、まさに「基地」と呼ぶにふさわしく、幼いころに初めて見た時は、ロボット漫画の秘密基地がそのまま現実化したように思え、狂喜したのをおぼえています。

竣工当時は、その最新設備を誇ったであろう臨港署の建物も、今ではごらんの通りだいぶくたびれて、大型化した新型の消防艇は、「秘密基地」のなかにはとても収まらず、写真のように、外部に新設された桟橋に繋留されています。

今回久しぶりに、臨港署を間近で眺めましたが、デザインが凡庸であろうが、古びていようが、フネを腹の中に呑み込む構造の建物っていうのは、やはりインパクトが違いますね。
できれば、いつまでも残していただきたい建物です。

臨港消防署のサイトはこちら

(17年8月21日撮影)

新月島川のYahoo地図

水上警察

FI1735549_0E.jpg商船大学前を、隅田川方にゆるゆると進んでいると、後方から爆音がして、水上警察の警備艇が追い抜いてゆきました。

グレーの船体が力強く波を切り裂いてゆく姿は、なんとも頼もしく、聞こえないのは解っていても、思わず「ご苦労さまです」と、声をかけてしまいました。

東京の水上警察署は、レインボーブリッジを望む品川埠頭にありますが、その管轄下に5つの派出所があり、担当水域も5つに別れています。
よい機会ですので、水上署のサイトを拝見すると、創設から126年の歴史があること、時には伊豆諸島まで出張する任務もあるなど、今まで知らなかった興味深い事実が書かれており、なかなか勉強になりました。

都内の水路を徘徊している最中に、事故があったりしたばあいは、真っ先にお世話になるのは水上署ですので、派出所の場所くらい頭に入れておかないと、イザというとき困るだろうと、(いまさらですが)慌てて図版をプリントアウト。

しかし警備艇もなかなか魅力的なフネがいますね。水上署に遊びに行って「すいませーん、フネ見せてください」とお願いしたいところですが‥もちろんいけませんナ。

(17年6月5日撮影)

まさに快挙!

緻密な取材振りで定評のある「追跡日記」のさんどさんが、なんと最新の記事で「神田川の分水路をゆく」を発表!

水路好きとして、これを快挙といわずして何と言うのでしょう!
ご一読をお勧めします。