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木更津港に拾う…2

(『木更津港に拾う…1』のつづき)
FI2618273_1E.jpg桟橋を自由に歩けるのをいいことに、曳船たちの憩う姿を楽しもうと、あたりをウロウロ。

こちらの曳船たちは、まだまだ元気そう。お揃いの深緑色の塗装が素敵です。木張りの桟橋も、雰囲気抜群で、靴の裏の感触も心地よいものでした。



FI2618273_2E.jpg同じ桟橋を、少し離れたところから。

緑色の曳船たちの、後ろにもやっている青い船体は、二段式のキャブを持つ押船。本船の接岸支援に、活躍しているのでしょうか。


FI2618273_3E.jpg桟橋に接岸しているガット船を、岸辺の遊歩道から仰ぎ見るのも楽しいもの。空船なので、赤い腹を見せ、舷側を高々と上げて、排水量以上に堂々として見えます。

内港は、奥の船溜も含めて、ガット船で占領されたような状態でした。これらがいっせいに出港するときは、さぞかし賑やかなことでしょうね。

FI2618273_4E.jpg同じ船を、桟橋側から。船以上に、このコンクリート桟橋が気になったのです。

古びて表面が風化し、角も丸く落ちて、真ん中あたりは自重で凹んだのか、大きな水たまりができています。
雰囲気としては、先日紹介した、横浜の古い護岸(『新山下運河…3』ほか参照)に似たものがありますね。戦前からあるものでしょうか。

FI2618273_5E.jpgガット船のもやう桟橋の右手にある、プレジャーボートの船溜に使われているこの桟橋などは、キノコ型のビットがいい雰囲気をかもし出しており、いかにも戦前か、それ以前の建造らしい感じがしますね。

ここで思い出したのが、木更津駅の近くで食堂をやっていた、知り合いのおばさんから、子供のころに聞いたお話…。
戦前は、木更津沖は海軍の小艦艇の泊地になっており、おばさんの食堂も2階を海軍下宿として間貸ししていて、軍艦が入港すると、水兵さんたちが休暇を過ごすために帰って来たとのこと。

もしかしたらこの桟橋も、沖がかりする軍艦からの内火艇(ランチ)が接岸して、水兵さんでにぎわっていた時代が、あったのかもしれませんね。
撮影地点のMapion地図


(20年10月19日撮影)

(『木更津港に拾う…3』につづく)
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運河の円盤?

(『海老取川澪筋に灯標新設』のつづき)
FI2618261_1E.jpg前回に引き続き、これも往路の道々のお話。

東雲運河を下っていると、有明北橋の向こうに対向船を発見。…ん?
アレは本当に船なのかしら? と思えるほど、遠望した限りでは、背が低くえらくツルッとして、凹凸に乏しく見えます。何だか、空飛ぶ円盤が水に浮いているような、そんな印象です。

FI2618261_2E.jpg興味をそそられて、艇を右側に寄せて止め、カメラを構えて待つことに。
近づいてきたそれの正体は、グリーンの真新しい塗装も美しい、プッシャーバージでした。

う~ん、しかし、この角度から見ると、キャブ以外、どこも丸みを帯びていて、角がない感じ。円盤と勘違いしても、無理はありますまい。艀というと、黒く塗られた無骨な印象がまずあり、それがまた好みだっただけに、とにかく想定外ではありました。

FI2618261_3E.jpgまん丸な船首で、もこり、と水を押し分けて進む姿は、凸凹の少ないそのスタイルと、グリーンの塗装も手伝って、可愛らしささえ感じさせます。

押船の、小ぶりにまとめられた一枚窓のキャブも斬新で、子供のころに想像図で見た「未来のフネ」が現実となったような…そんな感じがしました。無骨者の牙城だった艀の世界にも、新しい時代が訪れているのですね。

FI2618261_4E.jpg後ろにはまる押船も、デザインや塗装が同じであるところを見ると、バージと同時に建造されたのでしょう。

ううん、真っ黒ゴツゴツのバージも、もちろん大好きだけれど、これはこれでいいなあ…。色や造作が揃っていて、これ以上ないほどしっくりきているのが素晴らしい。艀界のグッドデザイン賞。

FI2618261_5E.jpgそのまん丸スタイルに似た、まろやかな優しい船首波が、こちらまで伝わってきました。ゆらり、ゆらりと揺られつつ、後姿をお見送り。
塗色から察して、行先は宇部興産の岸壁(過去の記事『東雲運河…1』参照)でしょう。

また会えるかなあ…。
撮影地点のMapion地図


(20年11月1日撮影)

(『東雲水門のディテール』につづく)

ロータリーボートだった! 第十一あかつき

FI2618233_1E.jpg二つ下の記事、「究極の曳船! 第十一あかつき」で、朝潮運河の寸詰まり曳船・第十一あかつきに再会して、一人で盛り上がっていたところ、ありがたいことにコメント欄で、火に油を注いでくださった(笑)方が出現。
嬉しくなったので、新たにエントリを立てて、ご紹介したいと思います。

まずblueさんより、この船はロータリー船と言って、キャブ直下に回転自在のドライブがあり、プロペラの向きを自由に変えられるような構造の船である、とのご教示をいただきました。

本船の接岸を支援するような、大型のハーバータグには、コルトノズルプロペラという、360度回転可能な推進器がついているのは知っていましたが、船首近くにペラがあるのは初耳でしたので、驚くと同時に、ちょっと信じられないような気持ちになったのも事実です。
喫水線下の構造がどうなっているのか、まるで想像ができない、というのもありました。

そんな疑問は、おなじみ、がーちゃんさん(ブログ『がーちゃんフォトアルバム』)が、この船のメーカーのサイト、「ロータリーボート」(株式会社 呉ダイヤ)を発見してくださったことで、見事に氷解することになりました。

なるほど写真を見ると、まったくblueさんの書かれていたとおりで、キャブほぼ直下にドライブがあり、船底には推進器を保護する、ガードフレームが備えられていますね。船尾に見えるのは、直進性を維持させるような、スケグの一種でしょうか。
意表をついた構造に、まさに2度ビックリですが、トシを取ると、頭が固くなっていけないなあと、反省することしきりです。blueさんのご親切なご教示に、「信じがたい」などと書いてしまった、ご無礼を改めてお詫び申し上げます。

さて、大いに興奮しつつ、ロータリーボートのキャプションを読んでゆくと、もともと貯木場で、丸太をさばくための専業船として設計されたこと、運動性は抜群で、カニのように横移動までできることなど、これまたそそることが書かれており、さらにテンションは急上昇…。
機関車に例えると、引込み線で貨車の入れ替えに働く、小型ディーゼル機関車、自動車で言えば、倉庫を走り回る蓄電池式のプラッター、といったところでしょうね。

しかし、構造の特異性もさることながら、今回、何より驚かされたのは、この船がワンオフではなく、曲がりなりにもメーカー品である、ということ。
この造作を見て、バックヤードスペシャル的(?)な匂いを嗅ぎ取り、近くの造船所で、鉄板ぶつけて造ったのに違いない、と、勝手に思い込んでいたのですから。これも、第十一あかつき君に対して、丁重にお詫び申し上げなければなりますまい。

ともあれ、お二方のご教示のお陰で、第十一あかつきに対する興味と愛着が、ますます燃え上がりました。
blueさん、がーちゃんさんに、改めて御礼申し上げます、ありがとうございました!

FI2618233_2E.jpgおまけ。
同日に撮影した、第十一あかつきの僚船、通称「電話ボックス」君。(過去の記事『お花見は曇り空だったけれど…2』ほか参照)

こちらも、負けず劣らずキュートな船影ですが、気になるのは、船名がどこにも見えないことです。第十一あかつきのように、立派な船名を書き入れてやってほしいものですね。


(20年10月12日撮影)

【20年11月6日追記】
ふたたび、がーちゃんさんのご紹介により、ロータリーボートが、実際に筏を組んでいるシーンを見ることができます。こちら→「業務案内・米加材荷役」(有限会社 歌港組)丸くて小さな船体で、大きな材木を一生懸命押している姿が、可愛らしいですね。がーちゃんさん、ありがとうございました!

また、月刊ボート倶楽部・2006年1月号舵社)では、なんと、「はたらくフネ探訪記 ロータリーボート〈第13あかつき〉」なる記事があるのを発見。
ん?「第13あかつき」…もしや、同型の僚船がいる、ということでしょうか。すると、改造されたのではなく、「フネづくし」のときとは、違う船に出会ったということなのかもしれません。う~ん、ますます面白くなってきました! まずは、「ボート倶楽部」のバックナンバーを探しに行かねば。

FI2618233_3E.jpg【20年12月28日追記】
上の記事を書いた後、さっそく「ボート倶楽部」の2006年1月号を探しに、神保町をうろついてみたのですが…。
バックナンバー常備店にはなし、何軒かある乗り物専門の古書店も全滅、さらに版元である舵社にも、在庫はないとのこと。

いたずらに時間だけが過ぎ、う~ん、図書館に行くしかないか…と思っていたら、なんと、がーちゃんさんが探し当ててくださり、しかも貸していただけるとのこと。今回の件では、がーちゃんさんにお世話になりっぱなしです、本当にありがとうございました!

さっそく「ボート倶楽部」をお借りして、その記事「東京木材運輸 ロータリーボート 第13あかつき」を開いてみると…、記事の筆者でもある、久保川勲氏が描く魅力的な解剖図により、その特異なメカニズムがわかりやすく解説されているほか、荷役中の写真もふんだんに掲載されて、もう興奮、コーフンの連続!
一読して、ますます、ロータリーボートに魅せられてしまいました!

記事によると、ロータリーボートを創案したメーカーは、名古屋の北井鉄工所で、同社の廃業後に、呉ダイヤが引き継いだとのこと。
我らが第十一あかつきは、1987年の建造。やはり兄弟がいて、同型の第十二、第十三あかつきと船隊を組んで働いていたものの、老朽化で第十二と第十三の健全な部分を合成、新たに第十三として就役させたのだそうです。

これも記事が書かれた、3年前の時点の話ですから、第十三が今も元気なのか、それとも、第十一の部品取りに使われてしまったかは、残念ながらわかりません。

数あるメカの中でも、特に変わっていて面白かったのが、冷却系統のしくみでした。
二次冷却水である海水は、三方弁で取り入れられた後、循環されるのですが、船底後部にあるフィンキール様のものは、なんと、冷却水を冷やすクーラーを兼ねているとのこと。う~ん、これならインテークに、ゴミや砂を吸い込まなくていいかも…。

他にも、船首のノコギリ状のアレは「スパイク」と呼ばれること、スロットルは足踏みペダルで操作することなど、ご紹介したいことは山ほどあるのですが…、あまり引用するのは、さすがに差し障りがあるので、気になる方は、ぜひ探して読んでみてくださいね。

【21年2月4日追記】
がーちゃんフォトアルバムの「第十一あかつき」に、トラックバックさせていただきました。

究極の曳船! 第十一あかつき

(『中川水門の水位差』のつづき)
FI2618230_1E.jpg最後に少し、櫓を漕いでから帰ろうかしらと、佃水門から朝潮運河に入ると、一艘のドラゴンボートが練習中でした。写真は朝潮大橋下、休憩中のスナップ。舷側に書かれたロゴを見ると、凸版印刷の社会人チームでしょうか。お疲れさまです。

ドラゴンボートを一旦追い越して、この後、よいしょよいしょと下手な櫓を操っていたら、追いついてきたクルーの皆さんが、呆れ顔で、押し黙って眺めていたっけ…。驚かせてすみません。
撮影地点のMapion地図

FI2618230_2E.jpgしばらく櫓走を続けて、おなじみ晴月橋近くの船溜までくると…おおお! 過去の記事「フネづくし」で紹介した、大好きなヘンテコ極小曳船が! 前回登場以来、3年ぶりの感動の再会です。

そのアンバランスゆえの不思議な魅力に、すっかり参ってしまい、朝潮運河を訪れるたびに、彼の姿を目で探したのですが、タイミングが悪かったのか、今の今まで会うことができず、もしや廃船になってしまったのかと、残念に思っていたのです。

ここで会ったが百年目、よし、今日はじっくり観察してやろう!
しかし、ずいぶんサビサビになったなあ…。前回見た時は、船名などどこにも書いていなかったけれど、船首ブルワーク(波除け)に、「第十一あかつき」と、立派な名前を書いてもらって…。その他にも、よくよく眺めると、以前とだいぶ、違ったところがあるのに気づきました。

FI2618230_3E.jpg一人分のスペースも満足にない、細長いキャブはそのままでしたが、ルーフの色が違いますし、形も微妙に異なるようです。取り替えたのでしょうか。キャブの中を見ても、舵輪は垂直に取り付けられた、やけに直径の小さなものから、水平の大直径のものに取り替えられていました。

もっともインパクトの大きかった、座席…以前は、一昔前のスチール机にあるような、事務用然とした回転椅子が固定されており、そのミスマッチに驚き、かつ惹かれたものですが、今は駅の待合室にあるような、プラ製一体成型のものに。まあ、腐食しない素材になった分、メンテナンス性(?)は向上したことでしょうね。

個人的には、細かい点でちょっと、インパクト減といった感想を持ちましたが、この船の第一の魅力である、全体からかもし出される異様さ(失礼)という点では、あまり変わりがなく、くたびれた外観にも、働き者らしい魅力が、むしろ増しているように思えました。(もう何でもありだな)
この他にも、エンジンルームの天蓋に、キノコ型通風筒が2本追加されており、この3年間、かなりの改造が加えられたことが見て取れます。

FI2618230_4E.jpgサイドビュー。縦横比が小さく、船首尾ともに垂直な船体は、本当にたらいのようですね。キャブ側面に、油性ペンか何かで「第11あかつき」「定員4名」とやっつけてあるのも佳し。

水線下の形状が、どうなっているかはわかりませんが、この肥えた船型を見た限りでは、すごく直進性が悪い感じがするのですが、実際はどうなのでしょう。一度でいいですから、ぜひ舵を取ってみたいものです!

乗り物の模型や玩具では、扱いやすさや形の面白さを狙って、実物を縮めたような、寸詰まったデザインのものがよく見られますが、私がこの船に惹かれるのは、まさにそんな、模型を思わせる風味にあるのかもしれません。
こんな模型、作ってみたいなあ(それより、通運丸の模型を、早く作らなければ…)。

FI2618230_5E.jpgそして船首の、ノコギリ状のこれ。過去の記事「曳船の船首に…」のコメント欄で、キャプテンケンケンさんが解説してくださった、曳船で丸太を筏に組む際の、滑り止めとでも言うべきもの。

船溜にもやう他の曳船でも、2本がせいぜいなのに、コイツには7本ものノコギリが、牙をむいている! 
ここだけ、すごく強そうです。
そのユーモラスな外観とはうらはらに、秘めた獰猛な一面(?)をも見せる、我が第十一あかつき…。いやもう、完全にぞっこんですわ!
撮影地点のMapion地図

(20年10月12日撮影)

(この項おわり)

有明埠頭をめぐる…3

(『有明埠頭をめぐる…2』のつづき)
FI2618220_1E.jpg浮きドック群のいる、中防北東岸から若洲の方向に目をやると、見慣れた感じのする、機械の固まりのような船影が見えました。

以前も紹介した、港湾局の浚渫船「雲取」です。最近、定繋地である港南の岸壁に、姿が見えなかったので、どこに行っているのかな、と思っていたのですが、この水域で仕事をしていたのですね。
もちろん吸い寄せられて、有明からはますます離れてしまう始末。

FI2618220_2E.jpg真後ろから。左舷には、浚渫した泥土を運ぶ土運船「しゅんかい1号」が接舷しています。

浚渫船に前後があるの? と思われるかもしれませんが、海底を掘る、コンベア式のバケットがあるのが前で、写真にも見える、船を固定するスパット(杭)が立っているのが後ろなのだとか。

左右に広げられたデリックは、アンカーブームと呼ばれるそうで、ワイヤーの先には錨があり、これをたぐったり伸ばしたりすることで、スパッドを中心にして、船を左右にスイングさせることができます。

FI2618220_3E.jpg接舷している土運船「しゅんかい1号」は、「雲取」と対照的に、よく目立つ明るい塗装。900立米の船倉を持つ本船も、「雲取」の浚渫能力をもってすれば、1時間で一杯になってしまうのだそうです。

この日は日曜日でしたから、もちろん作業はお休みだったのでしょうが、一旦仕事が始まれば、2隻ある土運船は、処分場との間を忙しく往復しなければ、とても間に合わないはずです。

FI2618220_4E.jpg「鋼鉄の城」の司令塔たる、船橋部分をアップで。
これだけ立派なブリッジがそびえていても、推進プラントを持たない「雲取」は、船舶とは見なされておらず、台船に搭載された「事業用電気工作物」という扱いなのだそうです。

雲が厚くかぶさる、あいにくの天気でしたが、むしろ「雲取」の名にふさわしい、厳しい雰囲気が味わえたような気がしました。

FI2618220_5E.jpg曇天をバックに雄々しくたたずむ、「雲取」を堪能して、もうおなか一杯…。

さて、雨に見舞われないうちに、有明埠頭を一周してしまいましょう。
撮影地点のMapion地図


(20年9月28日撮影)

(『有明埠頭をめぐる…4』につづく)